とある内科レジデントの雑記帳

元「とある研修医の雑記帳→つねぴーblog」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

グラム陽性球菌の覚え方と臨床的なポイント

◯グラム陽性球菌の覚え方

 

【ゴロ】

要求したブドウは超急には配送されんさ
1 ̄  2 ̄ ̄ 3 ̄ 4 ̄ ̄  5 ̄ ̄
 
1陽性球菌
2ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)
3腸球菌
4肺炎双球菌
5レンサ球菌
 
 
黄色ブドウ球菌
・健常人でも3−4割の人が保菌しているありふれた菌。
・そして臨床上もっとも重要な菌の1つ。
・表皮ブドウ球菌は常在菌であるが、黄色ブドウ球菌は常在菌ではなく、感染により保菌する。(代表的な場所は鼻腔、腋窩、会陰部、膣内)
・感染症の例:皮膚、軟部組織感染症(蜂窩織炎、膿痂疹、壊死性筋膜炎など)、感染性心内膜炎、骨髄炎、化膿性関節炎、肺炎、髄膜炎、トキシックショック症候群
・黄ブ菌の一番のポイントは血流感染を起こす→血流感染による化膿性関節炎や骨髄炎等の場合はほとんどの原因が黄色ブドウ球菌
・MSSA治療の第一選択薬は:第一世代セフェム系のセファゾリン
・MRSA治療の第一選択薬は:バンコマイシン(グリコペプチド系抗菌薬の1つ。細胞壁合成酵素の基質であるD-アラニル-D-アラニンに結合して細胞壁合成酵素を阻害するのでβラクタム系の効かないMRSAも殺菌できる)
 
 
表皮ブドウ球菌
・皮膚常在菌でありヒトの皮膚で住み着いている。
・毒性はほとんどなく、健常人で感染症を起こすことはまれ。 (蜂窩織炎の原因の殆どは黄色ブドウ球菌かレンサ球菌)
・高齢の入院患者や基礎疾患により免疫力低下している患者で感染を起こす。
・主に人工物感染(人工関節や機械弁、中心静脈カテーテルなど)、手術部位感染など
・表皮ブドウ球菌のほとんどはメチシリン耐性(MRSE)。
・よってMRSAと同じようにバンコマイシンが治療の第一選択薬となる。
 
 
腸球菌
 ・文字通り腸管内に住む細菌で常在菌。
・病原性はそこまで強くない
・臨床的に重要なのは2種類。faecalisは市中感染が多くアンピシリンが効くが、faeciumは医療関連感染が多くアンピシリンが効かない。どっちなのかは培養をしなければわからない。
・市中感染の例:尿路感染症、腹腔内感染症(虫垂炎、胆道系感染症、憩室炎)、感染性心内膜炎など
・医療関連感染の例:CVC、尿路カテーテル、手術部位感染など
・腸球菌は医療関連感染の代表的な病原菌なので医療関連感染を疑う時は腸球菌も想起できるように
・Enterococcus faecalis:アンピシリン感受性
・Enterococcus faecium:アンピシリン耐性→第一選択はバンコマイシン
 
 
レンサ球菌
 ・常在菌の1つで非常にありふれた菌(主に皮膚、口腔内、咽頭、消化管内)
・A群β溶連菌:咽頭炎や皮膚軟部組織感染症(蜂窩織炎や膿痂疹、壊死性筋膜炎など)、丹毒、猩紅熱、トキシックショック症候群などのトキシンによる疾患。
・B群β溶連菌:妊婦の尿路感染症、。トキシックショック症候群など
・緑色レンサ球菌:感染性心内膜炎、深部臓器膿瘍
・レンサ球菌の治療の第一選択薬はペニシリンG
 
 
肺炎球菌
・常在菌ではなくが保菌しているヒトはいる
・ありふれた菌ではあるが、致死的な感染症を起こしうる非常に危ない菌
・咽頭や鼻腔粘膜に感染し、そこから髄膜炎になったり血流感染をおこす
肺炎球菌は莢膜があり好中球貪食に対して抵抗性を示す(ゆえに脾臓摘出しているヒトは感染後数時間で死にうる)
・肺炎球菌による感染症の例:気管支炎、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、特発性細菌性腹膜炎、菌血症など
・肺炎球菌の治療(部位別に異なる)
肺炎:外来ならオーグメンチン®やレスピラトリーキノロン®、入院ならセフトリアキソン
髄膜炎:バンコマイシン+セフトリアキソンの併用
中耳炎、副鼻腔炎:ペニシリン系の高用量、オーグメンチン®