結核喀痰検査:塗抹、培養、PCRの違い
結核喀痰検査:塗抹、培養、PCRの違い
塗抹とは
【利点】
短時間でできる
手技も簡単
【欠点】
感度が低い
菌株名まではわからない
死んでる結核菌や非結核性抗酸菌も陽性となってしまう。結核治療中の患者の喀痰には死んだ結核菌がたくさんいるので喀痰塗抹検査は陽性となりうる。
【塗抹染色の例】
引用:http://www.fukuyamacity-hosp.jp/presentation/medicaltech/examination/examination3.html
分離培養とは
【利点】
結核の確定診断に必要(塗抹法やPCRが陰性でも培養陽性のこともある)
生きてる菌のみ検出できる
薬剤の感受性試験ができる(生きてる菌だから)
検査が比較的簡単
【欠点】
菌の検出に時間かかる(小川培地で4−8週間、液体培地で1−2週間)
検体の鮮度に左右される
【分離培養イメージ】
http://himeji.jrc.or.jp/category/department/kensabu/saikin.html
PCR(核酸増幅法)とは
【利点】
短時間で結果が出る(近年1時間程度で検査できるものも出てきている)
菌株の同定もできる(抗酸菌の1/4は非結核性なので同定は重要)
【欠点】
生菌・死菌の区別がつかない(核酸を増幅させるので死んでても増える)
わずかなコンタミでも偽陽性になりうる
高額、PCRの機械が必要
結核を疑ったら胸部レントゲンで空洞病変などがないか調べる。
次に、喀痰塗抹検査、培養、PCR検査を行う。
塗抹と培養は感度が低いので3日連続で採取する(3連痰)
PCRは感度が高いので一度で良い。
◯結果の解釈
PCR陰性で培養陽性の場合
・対象菌株以外の菌株による感染(PCRは事前に指定した菌の核酸しか増幅できない)
・反応阻害物質(ヘモグロビンやタンパク)がある。HbはPCR反応を阻害するため、血痰などのサンプルだと偽陰性になりうる
PCR陽性で培養法陰性の場合
・菌量が極めて少ない時(微量の背筋で検体中に結核菌が一様に分布していない)
・検査時のコンタミ(他の陽性検体が混ざっているなど)
・死菌が検出されている時(死んでるから培養では増えないがPCRではDNAが増幅されて陽性となる)