つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

酸素吸入の種類と適応の違い

呼吸不全の時には低酸素血症の改善を目的として酸素吸入療法や人工換気が行われる。

 

 

酸素吸入療法には鼻カニューレ、酸素マスク、リザーバー付き酸素マスク、リザーバー付きバッグバルブマスク(BVM)などの種類があり、それぞれで酸素の流量が異なる。

 

 

・両鼻カテーテル:1~4l/分(FiO2=24~44)

軽症〜中等症の低酸素血症の患者に適応となる。酸素吸入しながら会話や食事が出来るのがメリット。また、鼻粘膜が乾燥しないように5l/分以上での使用はしない。

 

・酸素マスク:5~10l/分(FiO2=40~60)

中等症の低酸素血症患者に適応となる。低容量ではマスク内に自分の呼気のCO2が溜まってそれを吸ってしまうので5l/分以上で用いる。

 

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鼻カニューレと酸素マスクのイラスト*1

 

 

・リザーバーバッグ付きマスク:6~10l/分(fiO2=60~99)

中等症〜重症で用いられる。呼気の酸素がリザーバー内に蓄えられるので患者はチューブからの酸素とリザーバーの中に溜まった酸素の両方から酸素を吸うことが出来る。ただし、これを低容量の流量で行うとリザーバーの中にCO2が貯まってしまうので6l/分以上で用いる。

 

 

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リザーバー付き酸素マスクの例*2

 

・リザーバー付きバッグバルブマスク:10-15l/分(FiO2=99)

心停止など自発呼吸がない場合に用いられる。自然に膨らむバッグがついており、押して空気を患者に送り込み、自然に膨らませてからまた空気を押し出すという一連の流れを効率的に行うことが出来る。気管挿管をする前の時間稼ぎとして有用であるが、長い時間用いると胃に空気が入ってしまうので経鼻胃管で空気を出す必要がある。

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リザーバー付きバッグマスクの例*3