つねぴーblog@内科専門医

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Bell麻痺の治療にビタミンB製剤を用いるのは何故か

Bell麻痺の治療にビタミンB製剤を用いるのは何故か

 

ベル麻痺とは単純ヘルペスウィルス1型の再活性化が原因となり生じる神経炎。末梢性顔面神経麻痺が生じるので片側顔面の閉眼ができない、額のしわ寄せができない、味覚の低下、涙腺・唾液腺の分泌低下など多彩な症状がみられる。治療としてはステロイドやウィルスの増殖抑制のためアシクロビルを用いるが、軽症例の場合経再生の促進を目的にビタミンB12製剤を用いることもある。

 

ビタミンB12は亜急性脊髄連合変性症の治療にも用いられる。ビタミンB12は脂質代謝において重要な役割を果たす補酵素であり、メチルマロニルCoAからサクシニルCoAになるのを促進する。ここでビタミンB12が欠乏していると上流のプロピオン酸やメチルマロニル酸などが異常に蓄積して髄鞘形成障害を引き起こしてしまうのである。Bell麻痺は末梢神経である顔面神経の障害であるので、中枢神経の障害と違い再生が可能である。その再生を手助けするという意味でビタミンB12が投与されるのである。