つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」

 

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

 

 

「ミドリムシ」って言うと多くの人が「小学校の理科で習ったけどあんまよくわからない」 ぐらいの反応しかしないと思う。でもミドリムシって実は非常に面白い生き物で、鞭毛を持ち動物のような振る舞いをするかと思えば、葉緑体も持っていて光合成をすることも出来る。つまり、動物と植物の中間のような生き物なのである。

 

 筆者である出雲充さんは大学一年のときに銀行のインターンでバングラディッシュに行き、そこで目にした住民の栄養状態があまりにもショックでどうにかして彼らの栄養状態を良くしてあげられないかと問題意識をもったようだ。国連などの機関も支援はしていて十分なカンパンなどはあるのだが、いかんせんビタミン類が足りない。

そこで、全ての栄養素をもった食べ物を作ることはできないか・・・。と思っていた所、サークルの後輩にミドリムシのことを教えてもらい、ミドリムシならバングラディッシュの食糧問題も解決できるかもしれない、後の起業につながっていくのである。

 

ミドリムシというのは前述のとおり、植物でありながら動物でもあるので、様々な栄養素をつくり出すことが出来る。例えば魚にはDHAが含まれてるけれども、それは元をたどればミドリムシが作り出しているもので、ミドリムシをたくさん食べた魚が生物濃縮によってDHAを持っているのである。更にはミドリムシは光合成する能力もあるのでCO2濃度上昇による地球温暖化問題も解決してくれる可能性があり、夢の様な生き物なのである。

 

 ただ、そのミドリムシの特性は学者の間では有名な話で、1980年頃からニューサンシャイン計画というミドリムシによる食糧問題対策が行われてきていたらしい。日本政府が音頭をとって、多くの研究者が加わって20年続けられていたようだが、失敗に終わってしまっていた。なぜならば、そもそもミドリムシを大量に培養できないからだ。

ミドリムシというのは様々な栄養素をつくり出すことが出来るため、人間だけでなく、他の微生物からしてみてもごちそうなのである。だから、ミドリムシだけを培養しようとしていてもどうしても他の微生物が混じり、あっという間に全滅してしまう。とても扱いの難しい生き物なのである。結果、ニューサンシャイン計画は頓挫し、多くの研究者がミドリムシから手を引いてしまう。出雲充さんがミドリムシで世界を変えたい!と駈け出したのはちょうどそんな時だったのである。

 

お偉い学者さんたちからしてみれば「若造がちょっと頑張ったところで大量培養なんてできるものでもない」みたいに思えるところであろう。しかし、この男、数年でミドリムシの大量培養を成功させるのである・・・(続く)

 

あらすじが長くなってしまったが、予想以上に感動的な話だった。読んでみればわかるが逆境の連続で、本当にベンチャーを立ち上げるというのはどれだけ大変かということを思い知らされる。

でも出雲さんには支援してくれる人たちが絶えずいた。

 

天才的な頭脳を持ちながら、大手企業に行かずに出雲の夢にのってくれた後輩。

今までの研究データを全て出雲に引き継がせてくれたミドリムシ研究者。

出雲の話に可能性を感じて資金援助とオフィスを無料貸出ししてくれたホリエモン。

クロレラの培養プールをミドリムシ用にしてただで提供してくれた石垣島の企業。

 

行く先々で出雲さんは良い人に巡り合っているのがわかるが、何よりも出雲さん自体が物凄く魅力的な人なんだろう。本を読んでてそう思えた。

出雲さん自体は決して「天才」ではなかったのかもしれない。だが、出雲さんの一途な気持ちが回りにいる人たちを動かしていくのはなんとも感動的。元気のもらえる一冊です。