つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

金環日食と目の病気

先日の金環日食で日本中が沸いていた訳だが、金環日食とは一体なんであろうか。また、皆既日食とどう違うのか。


■金環日食と皆既日食
金環日食とは月の視直径が太陽の視直径よりも小さくなり、環状にはみ出して細い光輪となって見える日食のことを言う。

一方、皆既日食とは月の視直径が太陽の視直径よりも大きくなり、太陽のすべてを隠してしまうために起こる。

日食はどうしてこのようなサブタイプが存在するのであろうか。これは月の地球周回軌道、また地球の公転軌道が楕円形であることに基づく。つまり、地球からみた月と太陽の大きさというのは絶えず変化しており、日食の際の月と太陽の大きさによって金環日食となったり、皆既日食となったりするのである。

■金環日食と目の病気

TVなどでもさんざん報道されているが、金環日食を適切なフィルター無しで観測すると日食網膜症になってしまい危険である。日食網膜症とは太陽性網膜症の一種であり、障害メカニズムは同じである。具体的には、太陽光が眼底に達し、網膜の中心にある黄斑が損傷し、視力低下に至る、また、黄斑の中心部の中心窩がダメージを受けると著しい視力低下が起こる。具体的な症状としては視野の中央が歪んで見えたり、霧が買って見えたりしてしまう霧視などがあるようである。多くは一過性のもので回復するが、現在有効な治療法が開発されていない。

平時なら太陽を肉眼でみるという人間は中々いないだろう。医学的な知識がなくとも目に悪そうということは直感で分かるし、何よりも眩しくて直視していられないからである。しかし、サングラス等中途半端な遮断で太陽をみてしまうのは大変危険である。太陽光というのは低波長である紫外線や高波長である赤外線、そして可視光線等非常に幅広いスペクトルをもつ電磁波である。もし遮光フィルターが可視光線しかカットしてくれなかった場合、太陽をみても全く眩しくないけれども紫外線やら赤外線やらはがんがん網膜に届いてしまうので危ない。眩しいという感覚がないので長時間みてしまう危険性もある。なんだかどこぞやの商品が回収騒ぎになっていたようだるが本当に、粗悪品で観察したら視力低下してしまうので本当に気をつけたし。また、特に気をつけないといけないのは子供達の観察である。ちゃんとしっかりした遮光フィルターを持っていても興味本位でフィルターを外して肉眼でみてしまう子も少なくなかったようである。子供の場合、大人と違って目の透明性が高いので、太陽光がより網膜にダイレクトに届いてしまう。本当に要注意。