つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

気腫性膀胱炎とは何か

◯気腫性膀胱炎とは

気腫性膀胱炎とは大腸菌やクレブシエラ菌などガス産生菌が膀胱壁内にガス産生を行う膀胱炎であり、通常の膀胱炎よりも予後が悪い。若年女性などでは起こりにくく、コントロール不良の糖尿病患者や神経因性膀胱、尿道閉鎖などに好発する。無症状に経過する予後良好の場合もあれば、膀胱破裂や敗血症に至るものまであるため、早期に診断することが重要である。

 

膀胱鏡で覗くと膀胱壁の気腫はこんな風にみえるようです↓

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Emphysematous Cystitis Occurred in the Case Treated with Steroid for Autoimmune Hepatitis

 

◯気腫性膀胱炎で熱発してたら菌血症・敗血症のサイン

通常の膀胱炎であれば炎症は局所なので発熱は来さない。このことは腎盂腎炎との鑑別にも重要なことであるが、気腫性膀胱炎では発熱を認めるを認めることが知られている(実際に気腫性膀胱炎患者の主訴の3割は「発熱」であったとの報告がある。)

これは膀胱内で繁殖した細菌が膀胱壁内の毛細血管に侵入して菌血症、敗血症を引き起こすためと言われている。

 

◯膀胱壁気腫が重症化すると膀胱内のガス像を呈する

病原菌によるガス産生により膀胱壁内に気腫が生じると考えられている。膀胱組織中の糖が細菌により嫌気的に分解され、CO2が産生されて粘膜下に貯留する。進行すると膀胱壁内の気腫が融合して、その一部が破裂して膀胱腔内の遊離ガスとして認められるようになる。(糖尿病患者に多いのは膀胱内に多量の糖があることにより、その嫌気的な分解が起こりやすいからと考えられる。

 

◯治療方針

治療としては尿道バルーン留置と抗菌薬投与、そしてコントロール不良の糖尿病などがあれば基礎疾患の治療も厳格に行っていく。予後は良好なことが多いが、治療が遅れたために敗血症に進行して死亡しうる症例もあるので早期診断が重要である。死亡率は10%と低くない。

 

【CT画像紹介】

気腫性膀胱炎のCT像の一例

f:id:tsunepi:20180209171249p:plainhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol/103/4/103_627/_pdf

 

気腫性膀胱炎のCT像その2

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http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S1413-86702008000600025

 

 

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http://radiologyinthai.blogspot.jp/2014/02/emphysematous-cystitis.html