つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

セファゾリン、セフメタゾール、セフトリアキソンの違い

セフェム系は第一世代はグラム陽性菌に活性が有り、世代が進むごとにグラム陰性菌もカバーできるようになる代わりにグラム陽性菌へのカバーは悪くなる。

が、同じ世代のセフェムでも抗菌薬ごとに特徴はかなり異なるので注意。

 

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画像参照)https://kusuri-jouhou.com/microbe/cephem.html

 

◯セファゾリン、ケフレックス(第一世代セファロスポリン系)

基本的にはグラム陽性菌の黄色ブドウ球菌、レンサ球菌治療薬(ただしMRSAには効かない)

グラム陽性球菌全てに効くわけではなく、腸球菌には無効

(腸球菌にはenterococcus faecalisであればアンピシリン、E.faeciumであればバンコマイシン)

グラム陰性桿菌でカバーするのはPEK(proteus,E.coli,Klebsiella)。(ただしESBL産生菌であれば効かない)

嫌気性菌には効かない

細胞内寄生菌(レジオネラ、マイコプラズマ、クラミジア、リステリアなど)にも効かない

いつ使うか:軟部組織感染症や化膿性関節炎、骨髄炎、心内膜炎などが良い適応。組織移行性が非常に良いが、髄液への移行性はなく髄膜炎には使えない。

 

◯セフメタゾール(セファマイシン系)

第二世代セファロスポリン系と同等のグラム陰性桿菌+横隔膜の下の嫌気性菌(バクテロイデス)に活性をもつ。βラクタマーゼ産生菌にも。市中感染の腹腔内・腸管内感染症、骨盤内感染症に良い適応(淋菌はカバーしているがクラミジアはカバーしていない)。

誤嚥性肺炎にも有用。

上記のスペクトラムがあるので腹部外科領域や婦人科領域の手術の予防投与に用いられる。また、内視鏡など消化器的な手技のときも予防的にセフメタゾールは投与される(手技前に一回だけ)。

糖尿病性足壊疽では黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌などの混合感染であるので良い適応。

 

◯セフトリアキソン(第三世代セファロスポリン)

商品名:ロセフィン®

基本的にはHEN-PEKを超えるスペクトラムの好気性グラム陰性桿菌に広く効果がある。

その他、BNLAR型インフルエンザ菌、淋菌に効果ある。

黄色ブドウ球菌やレンサ球菌にも効果があるが、第一世代のセファロスポリンの方が望ましい。

(特にフロモックスなど第三世代の内服薬はバイオアベイラビリティが悪いので陽性球菌狙いで使うことは望ましくない。)

嫌気性菌には横隔膜より上の嫌気性レンサ球菌に効果あるが、横隔膜より下のバクテロイデスには無効。

MRSA、腸球菌、細胞内寄生菌には効果なし

いつ使うのか:広く腸内細菌をカバーし、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症において有用。髄液移行がよく、ペニシリン耐性肺炎球菌やインフルエンザ菌による髄膜炎にも有用。

 

★追記:同じ第三世代セフェムでもセフタジジムは緑膿菌までカバーする一方、グラム陽性球菌のカバーは弱い。

 

簡単にまとめると

【セファゾリン】

黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に使う。

【セフトリアキソン】(ロセフィン)

ペニシリン耐性の肺炎球菌や、広範囲にグラム陰性菌をカバーして市中肺炎や尿路感染症に。

【セフメタゾール】

嫌気性菌をカバーし、腸管内や腹部骨盤系の感染症に。

 

おまけ

◯ケフラール®、パンスポリン®(第二世代セファロスポリン)

基本的にはHEN(haemophilus+ Enterobacter+ Neisseria)+PEK

その他モラクセラ・カタラーリスもスペクトラムに入る。

第一世代のセファロスポリンでカバーしてたグラム陽性球菌やグラム陰性桿菌はスペクトラムには入っているが積極的には用いない。

嫌気性菌には効かない。

グラム陽性菌の中でも腸球菌やMRSAには効かない

細胞内寄生菌にも効かない

HNPEKのHであるインフルエンザ菌に効くのが売り!(が、第二世代セファロスポリン耐性のインフルエンザ菌(BLNAR)が増えてきている。

いつ使うか:基本的には耳鼻科領域(中耳炎、副鼻腔炎、慢性気管支炎)や上気道炎で本抗菌薬に感受性のあるインフルエンザ菌やモラキセラなどを治療する時に使用する。

重症でインフルエンザ菌が外せない場合は薬剤感受性試験の結果で感受性が判明するまでは本剤は使用しないほうが望ましい。