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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

シンプルマスクは5L/分以上で投与しないといけない理由

シンプルマスク(簡易酸素マスク)では酸素投与を5L/分以上で投与しないといけない。

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簡易酸素マスクは上の写真のように鼻と口とをすっぽりと覆うマスクである。その覆っている空間(およそ200mlほど)はリザーバーとしての働きもあるのでボンベから送り出した酸素が貯まるだけでなく、患者の吐き出したCO2も溜まってしまう。

 

患者の呼気のCO2を再呼吸してしまわないようにするためには、酸素の流速を早くする他ない。その最低流速が5L/分と言われている。

酸素を5L/分のスピードで流せば患者が息を吐いてから次に吸うまでの間にマスクにO2が溜まって呼気のCO2を追い出してくれる。

 

5L/分という数値の根拠であるが…

酸素マスクの覆っている部分の体積を150mlとすると、その150mlの空気全てを追い出すには患者の呼気時間(2秒とする)の間に150mlの酸素を送り込んで患者の呼気を全て追い出す必要がある。つまり2秒で150mlの酸素なので1分間で4.5Lである。

簡単な計算であるが、これが酸素5L/分以上で流さないと行けないという根拠である。もちろん呼気時間は患者によって様々であるし、酸素マスクの容量もメーカーに寄って異なるので厳密な話ではないのだが。

 

ボンベからの酸素でリザーバー内の患者呼気CO2を追い出すイメージ図↓

http://tnagao.sblo.jp/(byやさしい呼吸器教室)

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画像参照:http://tnagao.sblo.jp/category/1217831-1.html

 

ちなみに、患者がCO2を再呼吸してしまっても影響はごく軽度と言われている。例えPaCO2が上昇したとしても患者は代償的に呼吸回数を上昇させてPaCO2は補正される。教科書的にはナルコーシスのリスクはあるが実際になることはまずないとのこと(指導医談)。