つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

筋性防御、板状硬、反跳痛の違いとそれぞれの有用性

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虫垂炎や胆嚢炎などの炎症が腹膜に波及すると腹膜刺激症状という特有の症状が現れる。腹膜刺激症状の検査法は様々あり、ここでは筋性防御、板状硬、打診痛、咳嗽試験、反跳痛などなどをご紹介

 

筋性防御

腹壁を押し下げ痛みが出現するときに起こる腹筋の意識的な緊張である(炎症が起きているところを押すので痛くて筋が収縮する)。腹膜炎が高度の場合は腹部が”板状硬”となり明確に判断できるが、指先の抵抗感を注意深く察知することにより、軽度でも診断可能なことが多い。

 

板状硬(筋強直)

腹膜の炎症に反応した腹筋の無意識の緊張。患者は自分で制御できない。

 

★筋性防御と板状硬の鑑別

患者は痛みを恐れるあまり意図的に腹筋を緊張させてしまうので、会話するなどして意識をそらすのも一つのテクニック。

 

打診による圧痛 (tapping)

腹膜炎を起こしている患者では腹部を軽く打診するだけで痛みを訴える。この場合は炎症が腹膜に波及していることを示唆し、”tapping陽性”となる。ポイントは軽い打診で痛みがあれば陽性である。

 

踵落とし試験とは…

つま先立ちから急に踵を落とす。これによって腹部の痛みがあれば腹膜炎が疑われる。

  

咳嗽試験とは…

患者に咳をしてもらい、腹部に痛みが生じたり、顔をしかめるなどして痛みが認められれば咳嗽試験陽性となる。原理としてはかかと落とし試験やタッピングと同じであり、炎症の起きてる腹膜が揺れて刺激されることによる。

 

反跳痛(Blumberg徴候)

腹壁を圧迫し続けてから急に手を離す瞬間に鋭い痛みを感じる場合、反跳痛(ブルンベルグ徴候)陽性という。炎症の及んでいる腹膜が急に動かされ、痛覚がより刺激されるために反跳痛が生じる。ただし痛みで苦しんでいる患者に行うのも残酷な話であり積極的に行うものではない。反跳痛を確かめるぐらいなら優しい打診を行ったほうがよっぽど有用と書いている教科書もある。

 

「マクギーの身体診断学」によると

所見と腹膜炎の感度特異度は以下の通り

発熱:感度20〜96%、特異度11〜86% 陽性尤度比1.4

筋性防御:感度13−90%、特異度40−97% 陽性尤度比2.2

板状硬:感度6−66%、特異度76〜100% 陽性尤度比3.7

反跳痛:感度37〜95、特異度13〜91 陽性尤度比2

打診痛:感度57〜65、特異度61〜86 陽性尤度比2.4

咳嗽テスト:感度50〜85、特異度38〜79 陽性尤度比1.6

 

よって腹膜炎の所見的には

板状硬>打診痛>筋性防御>反跳痛>咳嗽テスト>発熱

の順に診断特性が高い。