副鼻腔炎をいつ疑うか。感度と特異度
副鼻腔炎とは
イラスト参照:副鼻腔炎の症状、手術 | 細田耳鼻科
副鼻腔炎にはウィルス性副鼻腔炎と細菌性副鼻腔炎とがある。
ウィルス性副鼻腔炎はいわゆる風邪とも言える。ウィルスは一般的に拡散力が強く、副鼻腔にとどまらず咽頭や気道の方にも感染するので鼻水、咽頭痛、咳など様々な症状が同時に出現する。一方で細菌感染の場合は多くの場合一つの場所で症状を起こす。細菌性副鼻腔炎であれば咽頭痛や咳は目立たず鼻症状がメインということになる。
典型的には先行する急性上気道炎(かぜ)があり、その一週間ほど後に発熱、鼻症状の増悪がみられた場合に強く疑う(二峰性の経過)。
感度特異度に関して次のようなデータが有る。(Acute bacterial rhinosinusitis in adults: part I. Evaluation. - PubMed - NCBI)
LR+は陽性尤度比の意。
・先行する上気道炎
→感度:85−99 特異度:8-28 LR+:1.1-1.2
・血管収縮剤、抗アレルギー薬に反応悪い
→感度:41 特異度:80 LR+:2.1
・二相性の経過
→感度:72 特異度:65 LR+:2.1
・膿性鼻汁
→感度:32-62 特異度:67-89 LR+:1.4-5.5
・鼻声
→感度:84 特異度:41 LR+:1.4
・嗅覚障害
→感度:80 特異度:43 LR+:1.4
・上歯痛
→感度36 特異度93 LR+2.5
・上顎洞圧痛
→感度:49 特異度:68 LR+:1. 5
・投光性試験陽性
→感度:73 特異度:54 LR+:1.6
これらの所見があればいずれも副鼻腔炎をより疑わせるということにはなるが確定的なものはなく臨床経過と症状から総合的に判断するしかない。教科書的には投光性試験が診断に有用と書かれることもあるが実際には簡単にはできない上に、感度特異度もそこまで高くないことから施行されないことが多いとのこと。
典型的には風邪の後に二次的に起こるが、アレルギー性鼻炎に罹患していると先行感染なくとも起こりやすい。またICU的には経鼻胃管挿入中も副鼻腔炎リスクが高まることが知られている。