つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

男性に色盲が多いのは何故か

人間の眼にはざっくり言えば角膜、ガラス体、水晶体、網膜なんてものがあって、多くの人は無意識のうちにそれらを使いこなしているわけであるが、いったいどんな進化の過程を経たらこんな精細な物を作り上げることができるのだろうか。進化はつくづく偉大である。


 

 
 
ほかの多くの動物も眼を持っているけれどもたとえば鳥やは虫類などは人間と同じように見えているのだろうか?


■人間は3原色なのに対して、鳥や昆虫などは4原色。

どういうことか。
人間の網膜には錐体細胞と桿体細胞という2種類の視細胞が存在している。
それぞれ役割が異なり、桿体細胞というのは光を感知する視細胞で、暗いところでもわずかな光をとらえることができる。
暗い部屋にずっといても次第に物が見えてくるようになるのはこの桿体細胞ががんばってくれているからである(暗順応)。

一方、錐体細胞というのは色を見分けてくれる細胞で、3種類存在している。
3原色というと赤・青・緑を想像すると思うけれどもこれは錐体細胞に赤色をよく感知できる錐体細胞、青色を見れる錐体細胞、緑色を見られる錐体細胞があるからということである。(それぞれS型錐体細胞、M型錐体細胞、L型錐体細胞と言われるがSMLはshort,middle,longの略で波長の吸収域のスペクトルを示している。波長が長いのが赤、短いのが青、中間が緑という感じ。)3種類の錐体からの情報の相対比や位置を分析して色を知覚している。
 


 

 
鳥たちは4原色という話をしたが、彼らは実は3原色に加えて紫外線も見ることが出来るのだ。 

紫外線がどのような色をしているのかは人間には理解しづらいかもしれない。
たとえば、生まれながら目の見えないヒトに「見る」ということを理解してもらうようなものだ。
 
4つの色を見れることで人間以上に様々なものを見分けられるようになっていて、見分ける能力が高いというのは間違いないと思う。
 (たとえばモンシロチョウはその豊富の色覚能力で雄雌を簡単に見分けることが出来るようだ。人間が見ても普通は区別がつかない)


でもよく考えると、人間っては虫類の祖先から進化したんじゃなかったっけ?
となると、もともと人間の祖先は4原色だったにもかかわらず、人間では3原色になってしまっていると言うことになる。
つまり、人間は色を見る能力を失ってしまっていたのだ。



 

 
ほ乳類が生まれた頃、恐竜が地上を支配していた。
だから、ほ乳類は恐竜様の目に触れないように夜にひっそりと活動するようになった。
夜に動くのならば、暗闇の中でわずかな明かりを察知できれば十分で、色の区別などできなくても良かったのだ。
長い年月そういう環境で暮らすうちに人間は錐体遺伝子を失ってしまったのだ。
 
 実を言うと、紫外線だけ見えなくなったのではなく、もうひとつの錐体細胞も失ってしまったのである。
つまり一時的に人間の祖先は4種類の錐体視物質遺伝子の2つを失ってしまったのである。そのため殆どの哺乳類は2色性色覚となってしまったが、その後ヒトの祖先は長波長側の視物質遺伝子(赤色)が分離し、異なる吸収波長特性を持つ2種類の錐体視物質(赤色と緑色)を持つことにより3色性となった。(約3000万年前)


何故一度失った色覚を再び取り戻せたのだろうか・・・・?
これはおそらく恐竜の絶滅によって昼間に行動できるようになったことはもちろんであるが、多様な色を認識できるようになったことで植物の果実などを見分けることができるようになり、果物からビタミン摂取が可能になり、進化的に+に働いたのであろう。


■男性の方が女性よりも色盲になりやすい理由

先天性の色覚異常は遺伝により生じる。L錐体細胞(赤色)とM錐体細胞(緑色)の遺伝子は性染色体のX染色体にある。この染色体に異常があると、L・M錐体細胞の視物質が形成されなくなる。男性の性染色体はXYであり、女性はXXである。よって女性の場合は片方のX染色体に異常があってももう一方のx染色体が機能している限り色覚異常にならない。一方で男性はX染色体をひとつしか持たないので、それに問題があった時点で色盲になってしまう。よって男性の方が色盲になる確率は高い。調べてみると、日本における男性色盲率が4,5%なのに対して、女性は0.165%のようである。一クラスに1〜2人はいるという計算になる。
 
ちなみにS錐体の遺伝子(青色)は常染色体にあり、出現頻度は低く、男女差もない。


■ほ乳類の肌が地味なのはなぜ・・・?

 
前述のように、ほ乳類では2色型色覚の動物が多い。
よって、昆虫などのように色を細かく認識できないのである。だからほ乳類の色は一般的に派手でない。
昆虫などは色が非常によく見えるためにカモフラージュしたり、不気味な色をして自分はおいしくないですよ〜〜というアピールをしているが、ほ乳類においては敵であるほ乳類もたいして色を認識できないので派手にする必要がない。それで地味な可もなく不可もなく的なおとなしい色になったと考えられる。