つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

グラム陰性桿菌の覚え方と臨床的な特徴

グラム陰性桿菌の覚え方のゴロ

 

☆陰性桿菌の覚え方(実用性はなし)

 印鑑持って甘美な赤と緑のセーラー服百枚抱いて

 これらをくれとレジのプロチーフに言った猿

印鑑持って:陰性桿菌

甘美な:カンピロバクター

赤と:赤痢菌

緑の:緑膿菌

セーラー服:セラチア菌

百枚:百日咳

抱いて:大腸菌

これらを:コレラ

くれと:クレブシエラ

レジの;レジオネラ

プロの;プロテウス

チーフに;チフス

言った:インフルエンザ菌

猿:サルモネラ

 

臨床では以下のように分類すると理解しやすい。

 

◯腸内細菌群(大腸菌、クレブシエラ、プロテウス)

・大腸菌

常在菌であり基本的には毒性なし。が、免疫不全者では日和見感染をおこすことも。

また、外因的に病原性を持つ遺伝子を獲得した大腸菌を病原性大腸菌という(O157など)。第一選択薬はアンピシリンやセファゾリン。ニューキノロン系やST合剤は耐性菌が増えている。

 

・クレブシエラ・ニューモニ

消化管の常在細菌叢を形成する細菌。これも本来病原性はないが、糖尿病や肝硬変、アルコール中毒などで免疫力低下している患者で重症肺炎や敗血症をきたす。

クレブシエラは全てβラクタマーゼを産生するためアンピシリンは効かない。

第一選択薬はセファゾリン。セファゾリン効かなければセフトリアキソンやニューキノロン系を用いる。

 

・プロテウス

消化管や会陰部に常在するグラム陰性桿菌。亜種によって抗菌薬の感受性が異なる。

・proteus mirabilis(ミラビリス)

→アンピシリン、セファゾリンが有効。耐性菌の場合はセフトリアキソンやニューキノロンで対応

・proteus vulgaris(ブルガリ)

アンピシリン、セファゾリンが無効!第一選択薬はセフトリアキソンやニューキノロン

 

◯SPACE(医療関連感染で起こるグラム陰性菌をSPACE)

S:セラチア、P:pseudomonas(緑膿菌)、A(アシネトバクター)、C:サイトロバクター、E:エンテロバクター

 

医療関連感染とは、中心静脈カテーテル感染、尿路カテーテル感染、手術部位感染、医療関連肺炎など。SPACEの中でも緑膿菌が最もおっかない。医療関連感染が疑われる場合は緑膿菌感染を視野に入れて抗菌薬を選択する。

初期治療における第一選択薬はゾシン(ピペラシリン・タゾバクタム)、第4世代セフェム(セフェピム)、カルバペネム系(メロペン)など。

 

 

◯細菌性腸炎を起こす菌(サルモネラ、赤痢菌、カンピロバクター、病原性大腸菌)

・サルモネラ(non-typhoidal salmonella、先進国に多い食中毒型)

原因としては卵や鶏、牛、豚などの食肉。ペットが保菌していることも。

潜伏期間は食品摂取後6時間〜2日間

下痢は3−7日間持続する。

重症化因子にはHIV、無酸症、胃手術、炎症性腸疾患などがある。

基本的に抗菌薬は使用しない。保菌状態をかえって長引かせてしまうと言われている。例外的に使用して良いのは上記の重症化因子を保つ場合や動脈瘤や動脈硬化を持つ高齢者、単願患者、人工骨頭や人工関節術後、心臓弁膜症、腎不全患者など。

 

・赤痢菌

胃酸に強く、少量の菌でも感染力強い。

潜伏期間は菌が体内に入ってから24ー48時間

赤痢菌は原則抗菌薬投与。他の細菌性腸炎では推奨されないが、赤痢菌に関しては全例に投与する!第一選択薬はニューキノロン系のシプロキサン®やクラビット®やマクロライド系のジスロマック®など

 

・カンピロバクター

らせん状のグラム陰性桿菌。第一選択薬はニューキノロン系、アジスロマイシン。

野生動物の腸管に常在する人畜共通感染症。特に鶏に多い。

潜伏期間2−5日間。基本的に抗菌薬投与は不要。必要なのは小児や高齢者、基礎疾患があって重篤感が強い場合である。エリスロマイシン®やシプロキサン®など投与する。 日本においてはホスミシンが頻用されている。

 

 ・病原性大腸菌

通常の大腸菌はヒトの常在菌であり通常は感染症を起こさない。大腸菌のうち外因性に病原因子を獲得して病気を発症するものは病原性大腸菌と呼ばれ区別される。

重症患者では溶血性尿毒症症候群(HUS)をおこすので注意。

 

O157であればホスミシンやニューキノロンで治療。菌体が破壊されてベロ毒素が放出されるため抗菌薬を使うべきでないとの試験管内での実験結果もあるが臨床的意義は不明。抗菌薬投与群のほうがHUS発症率が低かったという報告はある。

 

◯呼吸器感染を起こすグラム陰性菌

・インフルエンザ菌

インフルエンザ菌は様々な感染症を引き起こす。市中肺炎、副鼻腔炎、中耳炎、血流感染(→心内膜炎、化膿性関節炎)など。Hibワクチンも登場しているが任意接種。

アンピシリンが第一選択薬だったが使われすぎたせいか耐性化が進行している。故に、アンピシリン・スルバクタム、セフトリアキソン、ニューキノロン系などを使う。

また日本ではBLNARというβラクタマーゼ以外の方法の耐性をもったアンピシリン耐性菌も出現しており、その場合はペニシリンは無効なので注意。

 

・百日咳菌

百日咳は連続した激しい咳が特徴。以前はワクチンを摂取していない子供で多く見られていたが、近年は成人においてもアウトブレイクが起こっている。百日咳の第一選択薬はマクロライド系(アジスロマイシンやクラリスロマイシン)。エリスロマイシンは副作用が目立つので通常使われない。

 

また追記します。