つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

リザーバー付きマスクをいつ使うか

リザーバー付きマスクの良いところ

 

◯普通の酸素マスクで10L/分投与した場合どれだけ酸素が届いているのか

前提的な話として、人間の呼吸は吸気と呼気にわけられているが、おおよそ吸気1秒に対して呼気2秒ほどである。そして成人男性の換気量はおよそ500ml程。

 

酸素10L/分で投与するということは単純に計算して1秒で167mlの酸素が投与されることになる。よって吸気時間1秒の間に500ml吸いたいのに酸素は167mlしか送られてこない。とすると残りの500-167ml=333mlの分は周囲の大気中の空気(酸素21%)が入り込んでくることになる。よって10L/分で166ml分は純酸素、333ml分は21%酸素ということになってしまい酸素濃度はかなり低くなってしまう。また呼気時に送られてくる酸素は患者にいかずに外界に捨てられてしまうのでもったいない。

 

◯リザーバー付きマスク

そこで登場するのがリザーバー付きマスク。

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画像参照:http://ishikokkashiken.com/hypothermia/

 

リザーバーとはため池という意味の言葉であり、患者の呼気時の供給酸素を捨ててしまわずに一度ためておき、また吸気のタイミングで送るというもの。リザーバーの体積は商品にもよるがおおよそ800mlほど。

先程説明したとおり、シンプルマスクでは10L/分の酸素投与では1秒あたり166mlの酸素が送られることになり、患者の換気量を500mlとすると残りの334mlは外界から送られてくる空気(酸素濃度21%)を吸うことになるという話であった。が、リザーバー付きマスクを使えばボンベからの供給酸素(酸素濃度100%)+リザーバーにためてある酸素(酸素濃度100%)の両方を吸い込むことが出来るのでシンプルマスクに比べてより高濃度の酸素吸入を期待できるというわけである(実際にはマスクの隙間から空気が入り込んでしまうこともあるが…)。

 

注意点としては、酸素濃度が濃くなるのでCO2ナルコーシスリスクがある患者には用いない。

 

 

また追記します。