何故肥満の人は糖尿病になりやすいか
肥満が糖尿病につながる原因は何か。分子的にはどのような機構なのだろうか。
糖尿病とは血糖値を下げるインスリンが十分に分泌されないか、インスリンが分泌されてもうまく働かないインスリン抵抗性の増加によるものである。インスリンの感受性に影響を与える物質として腫瘍壊死因子(TNF-α)がある。
TNF-αは炎症性サイトカインで、外界からの敵を攻撃する役割を持っているが、インスリン感受性を低下させる働きも持っている。実は肥満細胞がTNF-αを分泌することが知られており、よって肥満の方は血糖値が下がらずに糖尿病になってしまうのである。一見痩せていても内臓脂肪がたくさんある人はインスリンの感受性が下がるために糖尿病になりやすいと言える。