つねぴーblog@内科専攻医

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エンレストのEF毎にどの程度効果が違うか

エンレスト(ARNI:angiotensin receptor neprilysin inhibitor=サクビトリルバルサルタン)のEFの違いにおける効果

 

・EF低下している心不全(HFrEF)に対する治療薬は存在するが、EFの保たれている(EF>40%)心不全に対する治療薬はほとんど存在していない。エンレスト(サクビトリルバルサルタン)とACE阻害薬単独でを比較してEF毎での効果を観察を行った。

・PARADIGM-HFというEF40%以下の心不全患者での試験とEF>45%以上の心不全患者でのPARAGON-HFという試験を組み合わせることによって解析した。

・EFごとに①22.5%以下群、②22.5%〜32.5%群、③32.5%〜42.5%群、④42.5%〜52.5%群、⑤52.5%〜62.5%群、⑥62.5%以上群に分類した。心臓血管死、心不全入院、全死亡、非心臓血管死までの時間を評価した。

・対象患者は合計13195人。サクビトリルバルサルタンはACE阻害薬単独に比べて心血管死、心不全入院、全死亡において優れていた。

・サクビトリルバルサルタンの効果はLVEFによって変化し、EFが正常範囲以下の患者では効果があったが、心血管死に対する治療効果はEFが低いひどほど低下した。EFが正常より少し低い、いわゆるmid-rangeEFの患者もRAS阻害薬単独よりもエンレストの効果に授かれる。EFが正常値であるとエンレストでの心血管死抑制効果はない。

・EF55%以上だとあまり効果が無いのにはいくつかの要素がある。1つは神経ホルモン拮抗薬は全ての左心収縮力低下患者に効果があると思われるが、収縮力正常の患者には効果がないと思われるからである。

・また、HFpEF患者の15〜20%は心アミロイドーシスとも言われているが、この発症メカニズムは神経ホルモン経路を標的にしても改善が見込まれるとは思えない。

・男女によってもサクビトリルバルサルタンの効果を調べたが、EFが高い患者においては女性の方が効果が大きかった(何故かはわからず)。

 

✅EF毎のARNI対RASの効果の違い。EF55%以下なら効果あり。

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✅女性の方がEF高めの心不全患者に効果あり(女性ならEF65%程度の患者でも恩恵に授かれる?)

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文献:

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov