心エコーの解釈:左房の拡大
●左房拡大の定義
・左房系は傍胸骨長軸像の断層像で収縮末期系を計測する。男性で4.0cm、女性で3.7cmより大きければ左房拡大と定義する。
が、近年は左房の大きさの評価に左房前後径測定は推奨されていない。左房が拡大する時は必ずしも均等に前後径、横径および長径方向に進展するわけではないからである。
・左房容積を体表面積で割った、体表面積係数での基準値は以下の通り。
正常:28mL/m2
軽度拡大:29-33mL/m2
中等度拡大:34-39mL/m2
高度拡大:40ml/m2以上
●左房拡大をきたす病態
1,左房への過剰な容量負荷:(by 僧帽弁閉鎖不全症)
2,左房圧の上昇:(by僧帽弁狭窄症or左室拡張末期圧の上昇による左房圧の上昇)
左室拡張末期圧の上昇は心不全で見られ、肺うっ血の原因となる。心不全での左房拡大は左室拡張末期圧の持続的上昇を意味する。
左房に容量負荷・圧負荷が加わることで左房壁は進展され拡大する。左室拡張障害に伴う慢性的な左房への圧および容量負荷のみが原因で左房が拡大した場合は、左房容積は左室拡張障害の程度を推定するよい指標になる=拡張不全のHbA1cとも言われる
(ASE/EACVIガイドラインではLAVI≧34mL/m2を左室拡張障害の1基準としている)
3,心房細動・心房粗動などによる機能不全:
心房細動は持続すればするほど左房径が大きくなる。