つねぴーblog@内科専門医

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入院患者に漫然と維持液を投与してはならない理由

安定した状態の入院患者に漫然とソルデム3Aなどの維持液を投与してはならない。

維持液には飲水が出来ないような患者に現在の体液バランスを維持するために必要な輸液である。が、入院中であれば身体あるいは精神的なストレス負荷がかかり、ADH分泌過剰状態になることがある(いわゆるSIADH)。ADH分泌が亢進すると、集合管での水の再吸収が起こり投与した水分が尿から排泄されずにどんどん体内に溜まってしまう。こういう状態の患者に維持液のような低張液を輸液し続けると血中のNaが水で希釈されて低ナトリウム血症となりうる(→医原性低ナトリウム血症)。ストレスの多い急性期は漫然と維持液を投与するのではなく、生理食塩水のような等張液を使用するなど検討する必要がある(そして定期的な採血でのモニタリングが必要)。

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