扁桃周囲炎と扁桃周囲膿瘍の違い
扁桃周囲炎と扁桃周囲膿瘍の違い(区別する理由)
扁桃周囲炎とは溶連菌などによって起こる細菌性扁桃炎がひどくなり、口蓋扁桃の周りの膜を破って喉の奥にまで広がっている状態。
扁桃周囲膿瘍では細菌が更に増殖して扁桃被膜と咽頭筋の間に膿瘍を形成してしまっているより状態で、下降して縦隔膿瘍など形成して致死的になりうるので要注意。扁桃周囲膿瘍は喉の内側に突出する場合が多い。
扁桃周囲炎と扁桃周囲膿瘍では治療方針が異なるため鑑別が重要。
扁桃周囲膿瘍で診られる徴候としては、以下のものが代表的。
非対称性扁桃周囲腫大(77%)
口蓋垂偏位(60%)
開口障害(52%)
hot potato voice(48%)
流涎(45%)
扁桃白苔(40%)
(by ジェネラリストのための内科診断リファレンス)
上記の所見が複数見られれば扁桃周囲膿瘍に準じて対応する。
(*特に開口障害は重要な所見で咽頭外側隙(lateral pharyngeal space)への炎症の波及を意味し、咽頭後隙(retropharyngeal space)へ炎症が波及するとその先の縦隔方向に一気に進行して重篤な病態となりうる。)
耳鼻科コンサルトが可能であれば試験穿刺によって膿瘍形成を調べるが、無理な場合ならエコーや造影CT、MRIなどを用いて膿瘍の有無・広がりを調べることになる。
扁桃周囲膿瘍の造影CT所見:
扁桃腫大を認め、扁桃内部に低吸収域、扁桃周囲の被膜が高吸収
【扁桃周囲膿瘍 造影CTでの例その1】
【扁桃周囲膿瘍の例その2】
http://medical-checkup.biz/archives/4372
扁桃周囲炎であればユナシン®など抗生剤による点滴が中心、扁桃周囲膿瘍であれば保存的治療に加えて膿瘍の排膿を目的として穿刺吸入が必要となる。扁桃周囲膿瘍患者では待機的に扁桃摘出術も行われる。