つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

脳性麻痺と小児麻痺の違い

似てる言葉の整理

 

◯脳性麻痺とは

脳性麻痺とは周産期の脳障害を原因とする永続的な運動障害の総称。具体的には受胎から新生児期(生後4週間)までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく永続的、しかし変化しうる運動及び姿勢の異常と定義される。正常発達の場合に歩行が獲得される2歳までには診断可能である。腫瘍などの進行性病変や、将来正常化が想定される運動発達障害は除外する。

 

◯小児麻痺とは

一方、小児麻痺とはポリオウィルスによって感染する急性灰白髄炎のことであり、ポリオによって脊髄の前角など灰白質に病変を引き起こす。ポリオに感染しても95%は不顕性と呼ばれ症状は出現しないが、5%ほどの感染者は感冒様症状、下痢や嘔気、腹痛などの消化器症状を引き起こし、その中の一部の感染者においてウィルスは中枢神経系に移行する。中枢神経系に移行してもそのうちの殆どの患者は頭痛や首痛、嘔気などと比較的軽症の症状で済む(非麻痺性髄膜炎)が、極稀に(約1000人に1人)は麻痺型ポリオという弛緩性麻痺を呈する重篤な病態に移行する。

 ポリオによって障害を受ける部位によって脊髄ポリオ、延髄ポリオ、脊髄延髄ポリオなどに分類される。麻痺型ポリオであっても神経細胞が完全に破壊されない場合は4〜6週間程度で症状は完全し得る。逆に完全に破壊されてしまった場合は不可逆的で再生し得ない。小児麻痺はポリオウィルスが主に5歳以下の小児が罹患するから”小児”麻痺と名付けられている(約90%が5歳以下であるが、成人でも発症しうる疾患である。)日本ではワクチン普及も相まってか野生株による小児麻痺の発症は1980年が最後。(2017年時点で)