タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの違い
抗インフルエンザ薬の使い分け
タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの違い
作用機序:ノイラミニダーゼ阻害
インフルエンザはヒト体内で増殖する過程においてノイラミニダーゼによって細胞からの遊離をするが、ノイラミニダーゼを阻害することによってインフルエンザウィルスを細胞内に閉じ込め、増殖を抑えることが出来る。ノイラミニダーゼを持つA型、B型インフルエンザには有効であるが、C型インフルエンザには効かない。
臨床効果:
ノイラミニダーゼの臨床効果は症状の軽減とインフルエンザからの回復スピードを早めるところにある。と言われているが、2014年4月のBMJの報告によれば成人のインフルエンザ患者ではタミフルでの症状改善はプラセボの7日間に比べて6.3日と0.7日短縮されるのみとのこと。また、インフルエンザ感染から肺炎などの合併症を引き起こすリスクについてはタミフル服用で軽減できるというエビデンスはなかったとのこと。この微妙な臨床効果はそれまで開示されていなかった製薬会社や行政の臨床試験データが2012年に明らかになったことで解析された結果であるらしい。
【4つのノイラミニダーゼ阻害薬 】
・タミフル:オーソドックスな内服薬。子供に使いにくい
経口薬。治療だけでなく予防にも効果。一番オーソドックスな抗インフルエンザ薬。が、近年タミフル耐性インフルエンザが増えてきており、その割合は2.6%にも相当すると言われる。タミフルは中枢神経障害を引き起こして子供が高所から飛び降りるなどとセンセーショナルな報道もあったが、後の厚生労働省の調査ではタミフルが原因ではないと結論付けられている。が、他にも抗インフルエンザ薬がある中であえてタミフルを未成年で使用はしないほうが無難。
・リレンザ:古くからある吸入薬。
最初に開発されたノイラミニダーゼ阻害薬。成人では1日2回を5日間投与する。
タミフル同様予防にも効果がある。気管支攣縮の報告があるため気管支喘息やCOPDなど基礎疾患のある患者への使用は避ける。
・ラピアクタ:一回投与で済む点滴薬
2010年に承認された新しいノイラミニダーゼ阻害薬。点滴投与なので内服や吸入できない患者には非情にありがたい。長時間作用型で一回投与なのでアドヒアランス的にも良い。が、予防投与のエビデンスはない。
・イナビル:一回投与で済む吸入薬
ラピアクタ同様一回投与で済むが、吸入薬なのでもし失敗すると…。
リレンザ同様吸入薬であり、気管支攣縮のリスクもあるため気管支喘息やCOPD患者には控える。
◯まとめ
タミフル®(オセルタミビル):内服、予防投与可能、10代では控える
リレンザ®(ザナミビル):吸入、予防投与可能、気管支疾患患者では控える
ラピアクタ®(ペラミビル):点滴、一回投与
イナビル®(ラニナミビル):吸入、一回投与、気管支疾患患者では控える
おまけ(過去記事)