TIAで失神を伴わない理由
失神の原因がTIA(一過性脳虚血発作)であることは非常に稀である。
TIAは「局所脳虚血あるいは網膜虚血が原因による短時間の神経症状による症状であり、通常は1時間以内に症状は消失し、急性期脳梗塞の所見を伴わないもの」と定義されている。
脳梗塞で意識障害が起こるには、両側大脳の広範囲脳梗塞もしくは脳幹梗塞(脳幹網様体の障害)でなければ意識障害は起こらない。意識消失の原因がTIAにあるとしたら両側大脳の脳梗塞もしくは脳幹を還流する血管が左右同時に閉塞して、血栓が左右同時に溶けて症状が消失したということになるので、可能性としては極めて低い。(もちろん失神以外に片麻痺や構音障害などの症状があればTIAである可能性は高まる)。
イラスト参照:http://rigakuryouhourinshou.blog.fc2.com/blog-entry-259.html
もし万が一、脳底動脈が両側性に一過性に閉塞すると、一見して一過性意識消失発作のように見えることもあるかもしれないが、この場合は数分〜数時間単位の意識消失であるので、心臓疾患による数秒単位の失神とは長さが違うので鑑別することが可能であるとかんがえられる。