大動脈瘤を見つけたらどうするか
大動脈瘤を見つけたら
◯大動脈瘤の定義
大動脈瘤とは大動脈壁の脆弱化によって部分的に大動脈が膨隆した状態を言う。
大動脈の正常径は胸部で3cm、腹部で2cmとされている。明らかに下方の大動脈が上部に比べて拡張している場合(コブ状に突出している場合)もしくは正常径の1.5倍以上の大きさに拡張している時(胸部なら4.5cm以上、腹部なら3cm以上)に大動脈瘤と定義される。(胸部のCT第3版,メディカルインターナショナル2011)
【大動脈瘤の原因】
・動脈硬化(下行大動脈に好発)←一番多い
・梅毒感染、マルファン症候群(上行大動脈に好発)
・外傷性(上行大動脈起始部や鎖骨下動脈分岐部などに好発)
◯大動脈瘤が見つかった場合の方針
大動脈瘤は剖検例では日本人の2.7%に見つかったとの報告もあり、無症候性のものを考えると決して珍しい病気ではない。
胸部CT撮影で大動脈瘤が見つかった場合のアプローチはその大きさによって異なる
・最大短径が4.5cm以下の時
→半年後にCT再検査
・最大短径が5.5cm以上の時
→全身状態考慮して侵襲的治療も考慮
・最大短径が4.5〜5.5cmの場合
→半年後のCTもしくはエコーによる再評価
胸部大動脈瘤であればマルファン症候群などの遺伝性疾患があればはやめの侵襲的治療を検討。腹部大動脈瘤であれば高齢男性、喫煙者、COPD、大動脈瘤の家族歴がある場合は破裂リスクが高いのでより早期の侵襲的治療を検討。
大動脈の拡大率は胸部大動脈瘤で年間1−4mm程度、腹部大動脈瘤で年間3−5mm程度と言われている。
手術以外のコントロール方法は喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、高尿酸血症など危険因子の管理である。手術適応は一般的には胸部大動脈瘤は6cm以上、腹部大動脈瘤で5cm以上。これ以上になると破裂リスクが高まるため。
参考)
「むかしの頭で診ていますんか?循環器診療をスッキリまとめました」