つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

左室高電位の定義と意義

心室高電位の原因と定義

 

QRSの振幅が大きくなっていることを心室高電位という。

左室高電位は左室側の誘導であるⅠ、aVL,V5,V6誘導でのR波の増高

右室高電位は右室側の誘導であるV1,V2誘導でS波が深くなる*1

 

次のいずれかの基準を満たす時に左室高電位と判定される(=ミネソタコード)

V5またはV6誘導のR波の高さ≧2.6mV

・Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導のいずれかのR波の高さ≧2.0mV

またはaVL誘導のR波の高さ≧1.2mV

・SV1+RV5(RV6)>3.5mV ←これはV1誘導のSの深さ+V5誘導のRの高さの和という意味

 

(R波に影響する因子として年齢、性別、人種などがあるが、日本人は胸壁が薄いためか欧米人に比べるとR波が高くなりやすいと言われている。 )

 

臨床的なポイントとしては、左室高電位=左室肥大ではないということである。

左室肥大の心電図の特徴としては

①左室高電位に加えて

②QRSの延長(0.1秒程度と軽度であるが)

③ST-T変化(ST下降とT波の陰転化=ストレインパターン)

を満たす必要がある。

 

 

 

 

 

 

*1:

【〜何故左室高電位でR波、右室高電位でS波なのかおさらい〜】

心室の興奮を見たいのでRS波をみる。

心室の興奮は心室中核、右室、左室の順番で起こる。

V1誘導において 心室中隔と右室の興奮は電極に対して向かってきているので心電図上は↑向きに振れる(これをR波という)。左室の興奮はV1からしてみたら遠ざかっているので↓向きに振れる(これをS波という)。通常は右室よりも左室の興奮が大きいので(何故なら左室は全身に血液を送り出す部屋なので当然右室よりも力強い)、V1誘導から見ると近づいてくるR波よりも遠ざかるS波の方が高くなるはず。