つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

ARNIはACEIに比べて心血管死や心不全入院を有意に低下させる

少し前(2014年)の論文ですが、ARNIがACEより優れているというNEJMの報告。

Angiotensin-neprilysin inhibition versus enalapril in heart failure

 

ARNIとはアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬のことで心不全治療の画期的新薬として期待されている。

LCZ696(ARNI)とエナラプリルをHFrEF心不全患者に投与すると、ARNIのほうが生存率が高いことが知られていた。EF40%以下のNYHA2−4度の心不全患者を8442人をランダムに割付を行い、ARNIとACEIでの効果を比較した。(ARNIは200mgを1日2回、ACEIはエナラプリルを10mgを1日2回)。主要評価項目は心臓血管死や心不全入院の複合である。結果としては、開始27ヶ月後にはARNIがACEIに比べて圧倒的に良い結果であったため試験中断となった。ARNIでは21.8%、ACEIでは26.5%であり、ARNIはACEIに比べて心不全入院リスクを20%低下させることが明らかになった。

*LCZ696は導入にあたって、エナラプリルよりも有害事象が少なく、元々ACEIやARB内服している患者などの心不全患者に幅広く適応可能であると考えられる。

*LCZ696は著明な血管拡張作用があり、症候性の低血圧を呈する患者が多くなったが(症候性の血圧低下:14%対9.2%)、内服継続困難な患者の増加は見られなかった。また血圧低下作用により腎機能障害も危惧されるが、血清クレアチニンの上昇などはエナラプリルに比べて少なかった。