つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

中枢性めまいの時の眼振の見方

注視方向交代性眼振の意義

 

 

(眼振記号の見方)

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注視方向交代性眼振とは

ペンライトの先などを目の前に出して、患者から50cmほど離れた距離でペンライトを正中視から上下左右に動かし目で追ってもらう(この時患者の顔が動かないように頭を軽く押さえる)。この時、虹彩で眼球結膜が隠れるぐらいまで目を外転させた状態で眼振を観察する。虹彩で眼球結膜が隠れる位置を超えて眼を外転させると健常人でも眼振が出現しうる。

患者の目が右を注視している時に右向きの眼振が出現し、左を中止している時に左向きの眼振が出現すれば注視方向交代性の眼振という。

(眼振には一方向にすばやく動く急速相とゆっくり動く緩徐相があるが、注視した方向に対して急速相をもつ眼振を注視方向交代性眼振という。)

 

また、病変が大きいと上下方向にも注視性の眼振が出現する

→上を注視している時に上方向の眼振、下を注視している時に下向きの眼振。

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注視方向交代性眼振は脳梗塞に対する感度は低いが特異度は高い。これが見られたら脳梗塞の可能性はかなり高くなる。

 

◯ちなみに末梢性めまいの場合は

定方向性(方向固定性)の眼振が見られる。つまり前を向いても左右、上下どちらを注視しても一方向のみの眼振が見られる。

ただし、注意点としては方向固定性眼振は前庭神経炎などの末梢性だけでなく、脳梗塞の可能性も0ではない。前庭は前小脳動脈から栄養されているので、ここの血管障害では方向固定性眼振となる。実際に方向固定性眼振のうち2,3%は小脳梗塞だったとの報告もある。よって、方向固定性眼振の存在は中枢性は否定的だが、完全に否定する所見ではないと考える。

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