心筋梗塞疑いの際の血液検査の解釈
AMIが疑われる際に身体所見や心電図と並んで血液検査も必要不可欠。
重要な項目としては、トロポニンI、CK、CKーMB、H-FABP、AST、WBC、血糖値などなど。たくさんある。それぞれ感度特異度は異なるし、イベント発症後どのぐらいで上昇するかも変わってくる。これらの検査値の意義を理解していないとAMIらしいかどうか推測することは難しい。
【参考】
◯トロポニンT
・感度は発作後6時間では50%だが、9〜12時間では感度95%にも達する。
・心筋梗塞後、1週間にわたって陽性(基準値超え)。
・CK-MBより心筋に対して特異性が高い(97%)が、他の原因でも上昇する。例えば心筋炎や心不全などの心臓の病態だけでなく、ショックや熱傷、敗血症などの心臓以外の病態でも上昇するので注意。
・腎排泄なので腎機能低下患者でも偽陽性となる。
◯CK-MB
心筋に豊富に存在するが、多臓器にもある。
特異度が低いため(88%)、何度か検査が必要
心筋の障害後、4〜8時間で上昇。
半減期は短く2〜3日で正常化
CKとCK-MBの割合が大事。
・CKMBがCKの25%以上であれば心筋梗塞というよりもマクロCK血症を疑う。
・CKMBがCKの10%以下であれば運動による骨格筋障害を疑う。
運動後のCK上昇のピークは運動後96時間後に出現したとの報告もある(Br J clin pharmacol.2008 Feb;65(2))
◯各心筋マーカーと経時的変化
参考:http://medi.atsuhiro-me.net/entry/2015/12/23/134844
発症1、2時間〜:ミオグロビン、FABPは超早期に上昇
発症4時間〜:CK、CK-MB、トロポニン上昇
発症 6~12時間 AST(正常化3~5日)
発症12~24時間 LDH (正常化8~14日)
*感度特異度ともに高いのはCKMBとトロポニン(赤字)
◯各酵素の上昇する順番(覚え方:見張っとく気ある?)
ミオグロビン → 白血球 → トロポニン → CK → AST → LDH
酵素の上昇する順番も大事だが、持続期間も重要。
例えばCK-MBとトロポニンIが異常高値であってもH-FABPが陰性であれば心筋速発作から2,3日は経過しているなどと推測することが出来る。
また追記、更新します