つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

S1Q3T3とは何か

S1Q3T3とは急性肺塞栓で取りうる心電図の波形パターンのこと。

 

【S1Q3T3の一例】

f:id:tsunepi:20170129173425p:plain

S1Q3T3 EKG Classic Pattern in Pulmonary Embolism (Example).

 

【S1Q3T3】

Ⅰ誘導の深いS波

Ⅲ誘導の明瞭なQ波

Ⅲ誘導の陰性T波

 S1Q3T3は急性肺塞栓を示唆する心電図変化である。肺塞栓で二次的に起きた右房負荷を反映していると言われている。

とある報告(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19766353)によると、S1Q3T3の肺塞栓に対する感度特異度は以下の通り

感度:8.7%、特異度97.8%、陽性尤度比4.0

つまりS1Q3T3があれば肺塞栓の疑いは強まるが、確定診断できるほどではない。結局は造影CTが必要。また、感度も低いため除外にも使えない(更にS1Q3T3波形は出現から24時間ほどで消えるとの報告もある)。

除外するのであればDダイマーの方が有能。心電図変化がまったくないものも肺塞栓の10〜25%ほどあるとの報告もあり、あまり心電図情報に足を引っ張られないほうが吉か。

 

肺塞栓ではこの他にも移行帯の時計方向回転、胸部誘導での陰性T波などが出現することが知られている。