虫垂炎=右下腹部痛という訳でもない
虫垂炎の典型例では心窩部から右下腹部に痛みが移動する。
が、虫垂炎の位置、大きさは患者により様々であり更に後腹膜などに固定されている臓器でもないので痛みは必ずしも右下腹部にあるわけではない。
とある論文(記事下参照)によると虫垂の解剖学的位置は頻度順に次の通りである。
盲腸の後ろ…64%
骨盤内…32%
盲腸の下…2%
回腸の前…1%
回腸の後ろ…0.4%
虫垂の腫大している方向次第では、痛みは右下腹部痛でなく、右上腹部痛、右側腹部痛などを取りうる。もちろん頻度的に多いのは右下腹部痛であるが、頻度としては非常に低いものの左下腹部痛であっても虫垂炎である可能性もあるので完全に除外してしまわないことが重要。
参考文献: