吸収糸と非吸収糸の違い(縫合糸)
外科手術に用いられる縫合糸は吸収糸と非吸収糸に分けられる。
吸収糸は縫合後しばらくは張力を保持して組織を生着させる役割を果たすが、一定時間後に加水分解されて組織に吸収される。適応としては皮下組織や消化管、筋膜、胆道系、尿路系などである。
吸収糸がどの程度張力を保持するのか、完全に吸収されるのにどのぐらい時間がかかるかは糸によって異なる。
【吸収糸】
PDSⅡ®(形状:モノフィラメント、材質:ポリジオキサノン)
→張力保持期間6週間、完全吸収期間:180〜240日
モノクリル®(形状:モノフィラメント、材質:ポリグロカプロン25)
→張力保持期間:3週間、完全吸収期間:90〜120日
バイクリル®(形状:ブレイド(編糸)、材質:ポリグラクチン910)
→張力保持期間3週間、完全吸収期間:60〜70日
【非吸収糸】
非吸収糸は吸収されずに長期間張力を保つことが出来る。故に、長期間強く組織を保持する必要のある場所に適応となる(例:骨、人体、腱、皮膚、心臓、血管、皮膚など)
ナイロン®(形状:モノフィラメント、材質:ナイロン)
エチボンド®(形状:ブレイド、材質:ポリエステル)
【TIPS】
吸収糸と非吸収糸を比較した研究では術後感染率は同等という報告がある模様(Ann Surg,231:436-442,2000)