低血糖患者にブドウ糖とVitB1を投与しなければならない理由
低血糖患者にブドウ糖とVitB1を投与しなければならない理由
・糖尿病薬の飲み過ぎやインスリノーマなど、何らかの理由で低血糖状態になっている患者には速やかにブドウ糖を投与する必要があるが、その際にビタミンB1も一緒に投与しなければならない。
・生化学的な話ではあるが、ビタミンB1は別名チアミン2リン酸という名の補酵素であり、これはアルデヒド基転移の運搬体としての機能を持つ。例えばピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の補酵素として働く(ピルビン酸デヒドロゲナーゼとは解糖系で生じたピルビン酸を脱炭酸してアセチルCoAに変換する酵素)。
・低血糖状態でブドウ糖を大量に投与すると解糖系→クエン酸回路系が突然回り始めてビタミンB1が大量に消費される。ビタミンB1が欠乏すると糖代謝ができなくなり、特に脳でのエネルギーが不足するとウェルニッケ脳症と呼ばれる脳症を発症する(意識障害、歩行障害、眼球障害)。
・よって低血糖が疑われる患者が来たらブドウ糖を投与するとともにビタミンB1の投与も必要。
・(投与例)アリナミンF(フルスルチアミン) 50~100mg静注。