”風邪”患者へのアプローチ
ERに風邪を訴えてきた患者が来た場合どうアプローチすればよいか
典型的な風邪では鼻汁、咽頭痛、咳嗽が急性に、そして同程度に生じる。
(3領域にまたがるのがウィルス性の特徴。細菌感染が同時に多領域に起こることは稀)
症状が単領域の場合でも殆どがウィルス性で特別な治療は必要としないが、細菌性の可能性も考える必要がでてくる。
鼻症状が強い→急性細菌性副鼻腔炎がないか
喉の症状が強い→溶連菌咽頭炎、扁桃周囲膿瘍、喉頭蓋炎がないか
咳が強い→肺炎がないか
以下、各論
■急性細菌性副鼻腔炎
症状:片側の頬部痛、俯くと頬部の違和感・痛み、歯痛、抗ヒスタミン剤でよくならない、副鼻腔の圧痛、叩打痛
検査:副鼻腔のX線、CTは不要
治療:頬部痛が非常に強い場合、鼻炎症状+疼痛が7日間以上続く場合は薬物治療が必要。(例:サワシリン+クラリチン+ムコダイン)
■溶連菌咽頭炎
診断スコア(センタークライテリア)
38度の発熱 +1点 、前傾部のリンパ節圧痛・腫脹 +1点 、咳嗽がない +1点 、扁桃の腫脹or白苔 +1点 、3〜14歳 +1点 、45歳以上 ー1点 (2点以上で疑う:溶連菌迅速検査)
詳しくはこちら:溶連菌性咽頭炎の診断基準:centor criteria - とある研修医の雑記帳
■扁桃周囲膿瘍
発熱と咽頭痛に加えて頚部や下顎の腫脹を認める場合は深頚部感染症も疑う必要がある。扁桃周囲膿瘍とは扁桃被膜と咽頭筋の間に膿瘍を形成したもので重症化で致死的となりうる。検査でもCRPが20mg/dlなど著明に上昇するので疑う材料になる。
→疑ったら耳鼻科コンサルが必要(ユナシンなど抗生+局所麻酔下での穿刺吸引)
■急性喉頭蓋炎
・症状:咽頭痛、喘鳴、嗄声、呼吸困難、つばを飲み込めない
・身体所見:咽頭所見に乏しい
→強い咽頭痛や含み声があるが、咽頭所見に乏しい場合に急性喉頭蓋炎を疑う。
■肺炎
症状::発熱、咳嗽、痰など
【次の5項目で3項目あれば胸部レントゲンは必要】
(が、肺炎疑うのなら胸部CTも普通は取る)
脈拍>100回以上、呼吸音の減弱、体温≧37.8度、呼吸音の左右差(crackle)、喘息がない
詳しくはこちら:肺炎疑いで胸部XPを取る基準(Heckerling score)