オグサワとは何か(オーグメンチン+サワシリン)
オグサワとは何か(オーグメンチン+サワシリン)
オグサワとはオーグメンチンとサワシリンの併用の俗称。オーグメンチンとサワシリンはそれぞれアミノペニシリンの一種であり、商品名。
アミノペニシリンは従来のペニシリンと異なり、グラム陰性桿菌の腸内細菌のカバーができるようになっている。アミノペニシリンにはβラクタマーゼ阻害薬を配合したものがあり、それがアンピシリン・スルバクタムとアモキシシリン・クラブラン酸である。
■アミノペニシリン
・アンピシリン(ビクシリン®)
・アンピシリン・スルバクタム(ユナシン®)
・アモキシシリン(サワシリン®)
・アモキシシリン・クラブラン酸(配合比2:1=オーグメンチン®、配合比14:1=クラバモックス®)
ごちゃごちゃしてわかりにくいが、以下の関係を覚えるとわかりやすい。
アンピシリン(静脈注射)=アモキシシリン(経口薬)
アンピシリン・スルバクタム(静脈注射)=アモキシシリン・クラブラン酸(経口薬)
(あもっきし食べる→アモキシシリン→経口のイメージ…)
(アンピシリン→アンプル→注射のイメージ)
■サワシリンとオーグメンチンの違い
繰り返しになるが
サワシリン®=アモキシシリン
オーグメンチン®=アモキシシリン・クラブラン酸 (2:1)
であり、一言で言えばクラブラン酸が入っているかどうか。
クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害薬でありβラクタマーゼ産生菌に有効な成分(βラクタマーゼ産生菌=MSSA、グラム陰性菌、嫌気性菌)。つまりこの3種類の菌はアモキシシリンは効かないが、クラブラン酸を入れると叩けるようになる。
オーグメンチンを高用量で処方するとクラブラン酸の量も必然的に高くなり、下痢などの副作用も増えてしまう。そこでオーグメンチンにサワシリンを加える事でサワシリンの量を過剰に増やさないまま、アモキシシリンの量を増やすことができる。
オグサワの適応例
・市中肺炎(肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因であればペニシリンは有効である)
・中耳炎、副鼻腔炎(アモキシシリン単剤では不十分でもβラクタマーゼ阻害剤が入れば効果が増強)
・動物咬傷(by犬、猫、人)
・咽頭周囲、扁桃周囲炎
・MSSAによる皮膚軟部組織感染
・誤嚥性肺炎(βラクタマーゼがあれば嫌気性菌にも有効)
成人用のオーグメンチンは2:1の割合であるが小児用では14:1というナイスな配合比で販売されている(=クラバモックス)。ちなみに海外では成人用も小児用も14:1でこれがスタンダードな模様。日本に無いのは何故でしょう…?