心不全患者における治療薬選択
■重症度と推奨される治療薬
心不全の重症度と治療薬の選択*1
心不全で何の薬を用いるかは病態と重症度によって変わってくるが
主な選択肢は以下のとおり。
・レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ACEI,ARB)
・β遮断薬
・利尿薬(ループ利尿薬、アルドステロン拮抗薬)
・血管拡張薬
・強心薬(ジギタリス)
■レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ACE,ARB)について
・エビデンスもあり積極的に使いたい薬。
・ACEとARBのどちらを選択しても予後に変わりはない。(ELITE2試験)
・ACEは副作用として咳嗽があるので酷ければARB。
・ただしACEとARBの併用をしても予後が良くなるわけではない(メタアナリシス研究)
■利尿薬(ループ利尿薬、アルドステロン拮抗薬など)
ループ利尿薬は心不全での死亡率を高めることが知られている。しかし浮腫が強い場合は症状を抑えるために用いないわけにもいかないので、必要以上の投与は推奨されない。
一方、アルダクトン(アルドステロン拮抗薬)は心不全の長期予後を改善する事が知られている。
またバソプレシンV2受容体阻害薬であるサムスかはNaを出さずに水だけを出す(水利尿)。低ナトリウム血症などを合併している患者に有用。
■βブロッカー(アーチスト、メインテート)について
・上の表で示したようにNYHAⅡ以上の心不全であれば基本的に適応となる(気管支喘息などない限り)
・心不全患者に対するβブロッカーはアーチストかメインテートを用いるのが一般的。(大規模臨床試験でこの2つの有用性が証明されているのでこの2つ以外を使う理由はあまりない)
・常用量はアーチスト10mg/日、メインテート5mg/日。開始は常用量の1/8から初めて段階的に増量していく。
・β遮断薬とACE阻害薬のどちらを先に使い始めても予後に差はない(CIBIS3研究)が、一般的にはACE阻害薬を先に用いられる。
・カルシウム拮抗薬について
ジヒドロピリジン系のアダラートは心不全の治療薬として予後を改善は証明されていないが、高血圧の治療薬として推奨される。(PRAISEⅡ試験)そもそも心不全の原因として高血圧があるので、高血圧合併の心不全では十分に適応となる。
また追記します。