つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

1号液(開始液)と3号液(維持液)の違い

1号液(開始液)と3号液(維持液)の違い

 

 

●1号液と3号液は生理食塩水とブドウ糖液を混ぜたもの

まず大きく分けて生理食塩水5%ブドウ糖液の2つがある。

生理食塩水はNaが154mEq/L含まれており輸液製剤の中ではNaが最も多い。Naは浸透圧で水を引き寄せる働きがあるので血管内脱水がある場合に生理食塩水は良い適応となる。

一方、5%ブドウ糖液は水にブドウ糖が少し加えたものである。血管内に入るとブドウ糖はすぐに代謝されるのであとは純粋な水になって細胞外から細胞内に移行する。割合としては1/3が細胞外液に、2/3が細胞内液に分布するので細胞内液の補充のときや高ナトリウム血症の時の治療などに用いられる。

 

下の図のように生理食塩水と5%ブドウ糖液をブレンドした割合で1〜4号液がつくられる。

1号液、2号液は生理食塩水を0.6-0.7倍ほどに薄めたもの

3号液、4号液は生理食塩水を0.2-0.3倍ほどに薄めたもの

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スライド参照:輸液、基礎の基礎

 

 

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引用元(http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/kid/resident/clinicallecture5.html

  

 

●1号液と3号液の使い分け

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・1号液とは生理食塩水を5%ブドウ糖で2/3〜1/2に希釈したものであるが、カリウムが含まれていないので病態不明であったり腎機能がどの程度かわからない患者にもまず用いることが出来る。とりあえず用いることが出来るという意味で”開始液”と呼ばれる。が、「何でもとりあえず1号液!」としてはならない。例えば脱水著明な患者では細胞外液を補充しないといけないので、よりNa濃度の濃い生理食塩水の方が水を引き寄せてくれるのでベター。

(例:ソリタT1号輸液、ソルデム1輸液)

 

・3号液とは生理食塩水を5%ブドウ糖で1/3に希釈したもの。1号液と異なりカリウムも20mEq/L含まれているのが特徴。1日に3号液を1.5〜2.0L補充していれば一日に必要なNa、K、水が補充できる。尿量が確保されている状態であれば、尿から排泄されるのと同じだけの電解質が供給されて、同じ状態を維持できるので”維持液”と呼ばれる。が、低張掖なので術後患者なの嘔気や疼痛あってADHが多く分泌されている患者では自由水貯留が起こり(ADHで腎臓からの水の再吸収↑)、医原性に低ナトリウム血症を作り出してしまうので注意が必要。術後でなくてもストレスの多い環境ではADH分泌が亢進して低ナトリウム血症をきたしやすいので適宜生理食塩水など等張液の点滴をする。

(例:ソリタT3号輸液、ソルデム3A輸液)