輸液製剤は大きく3つに分類される。
・電解質だけで血漿浸透圧とほぼ等しい値に調節したもの
・ブドウ糖だけで血漿浸透圧とほぼ等しい値に調節したもの
・電解質とブドウ糖を合わせて血漿浸透圧とほぼ等しい値に調節したもの
【 電解質だけで調節されている輸液】
・生理食塩水:0.9%の食塩水でNaとClそれぞれ154mEq/dlになっている。完全に電離したら308mOsmol/l。細胞外に分布するので体液量減少時に用いる。
・リンゲル液:筋細胞や皮膚細胞に適切な濃度に調節している輸液。Na147mEq/dl Cl 156mEq/dl K4.0mEq/dl Ca4.5mEq/dlである。
・ハルトマン液:生理食塩水やリンゲル液を大量に用いると血中のHCO3-が希釈されて代謝性アシドーシスになってしまう。それを防ぐために乳酸や酢酸を加えた輸液製剤。乳酸や酢酸は肝臓で代謝されてHCO3-になるので代謝性アシドーシスを補正することが出来る。(例:ラクテックなど)
【ブドウ糖だけで調節されてる輸液】
・5%ブドウ糖:溶液の浸透圧は278mOsm/Lと低めに調整されている。よって浸透圧によりすばやく細胞内に水が移動するので細胞内脱水の時に用いられる。
【電解質とブドウ糖で調節している輸液】
画像引用:大阪大学腎臓内科*1
1号液:生理食塩水やハルトマン液を5%ブドウ糖で1/2~2/3に希釈したもの。Kが入っていないので腎不全が疑われる時などに使用される。とりあえず使おうということから”開始液”とも呼ばれる。
2号液:NaやClの組成は1号液に近いが、カリウム、HPO4 2-、乳酸、Mg2+が含まれている。尿が出ている場合はそこから排出されるKを補うという意味で用いられる。
3号液:生理食塩水やハルトマン液を5%ブドウ糖で1/3に希釈したもの。1日の尿量が2lの時に尿から喪失するNa,Cl,K量と同じ濃度になるように調節されている。つまり一定のペースで尿が出ていれば3号液を点滴すれば同じ電解質を体内で維持することが出来る。故に”維持液”とも呼ばれる。(1/3に希釈しているから3号液と覚えよう)
4号液:生理食塩水あるいはハルトマン液を5%ブドウ糖で1/4に希釈したもの。Kが含まれていないので腎不全患者や乳幼児で用いられやすい。(1/4に希釈しているから4号液と覚えよう)
1号液の方が生理食塩水に近くNaを補給する効果が強いのに対し、4号液は希釈されており水の補給的な意味合いが強い。
輸液の表参照元*2
*1:研修医レクチャー 輸液療法 - その組成・種類と選び方・使い方 | 大阪大学腎臓内科