FDPとDダイマーの違い
血液凝固反応が起こると最終的にフィブリノーゲンがフィブリンになって安定化する。
画像引用*1
フィブリンは損傷血管を覆うことで保護するが、永久に持続するわけではなく、プラスミンを始めとした線溶系によって溶かされる。FDPとはフィブリノーゲンやフィブリンがプラスミンによって分解されてできた産物の総称である。
フィブリノーゲンの段階でプラスミンに分解されるとそれぞれの構成タンパクは安定化していないのでばらばらになる。その単位をD分画、E分画などという。一方で安定化したフィブリンはそれぞれの構成単位D分画同士が非常に強く結合しているので、プラスミンで分解されてもD分画とD分画の強い架橋構造(=Dダイマー)はそのまま残る。
つまりDダイマー上昇はフィブリンが分解された二次線溶の結果と考えて良い(フィブリンを分解する線溶系を二次線溶と言い、フィブリノーゲンを分解する線溶系を1次線溶という)。一方でフィブリノゲンの段階で分解されていたらDダイマーは作られず、D分画やE分画がバラバラにつくられる(=FDP)。
尚、血中Dダイマー上昇の原因としては肺塞栓、深部静脈血栓症などが代表的。また、くも膜下出血では髄液中のDダイマーが上昇するのでtraumatic tapとの鑑別に有用。
端的にまとめると
FDP上昇=一次線溶系or二次線溶系亢進(フィブリノゲンorフィブリノゲンが分解)
Dダイマー上昇=二次線溶系亢進(フィブリンが分解)
【おまけ】
FDPとDダイマーの比率はDICのタイプ分類にも有用である。
■凝固優位型DICではDダイマーの量が多くなる
→Dダイマー/FDP比が大きくなる。
■線溶優位型DICではDダイマーはあまり作られない
→Dダイマー/FDP比が小さくなる。
*1:ワーファリン[ワルファリンカリウム]作用機序、特徴、副作用