意識障害患者の対応と鑑別
意識障害患者への対応(ERメモ)
救急外来に意識障害の患者が来たらどうするべきか…
【まずはバイタルと意識を確認する】
・気道と呼吸の評価
SpO2低下していれば酸素投与
気道閉塞の可能性があれば気管挿管(GCS8点以下は挿管するのが無難)
・循環の評価
血圧低下(ショック)はないか?
ショックがあれば急速輸液で血圧を保ちつつ原因を精査。
・血糖の評価
低血糖でも意識障害をきたす。(DMの既往に特に注意)
ERでは迅速血糖測定ができるはずなので原則評価する。
→低血糖あればすみやかにブドウ糖+ビタミンB1投与。
・意識レベルの評価(JCS,GCS)
JCS/GCSの表引用*1
・身体所見、バイタルからの原因の想起
意識障害において特に見なければならないポイントとしては…
【瞳孔】
散大:抗コリン薬
縮瞳:橋出血、有機リン中毒、麻薬中毒
不同:脳血管障害、頭部外傷
【眼球】
頭部を動かした時に人形の目現象が消失し、頭部とともに眼球が動けば脳幹や中脳の障害を示唆
【脈拍】
徐脈:頭蓋内圧亢進、甲状腺機能低下症、低体温
頻脈:甲状腺機能亢進症、覚せい剤
【血圧】
上昇:脳血管障害、頭蓋内圧亢進
低下:ショック(原因様々)
【皮膚色】
チアノーゼ:呼吸不全
鮮紅色:CO中毒
【呼吸】
大呼吸:ケトアシドーシス(DMなど)
過換気:覚せい剤
・麻痺はないか
【筋力、麻痺】
四肢の動き(麻痺、病的反射)のチェック。系統的な評価は神経内科にコンサル。
麻痺の検査法:
上肢:両上肢を引っ張りあげて離すと麻痺のある側は健側よりもすみやかに落下
下肢:臥位で両膝を立てさせると、麻痺側では膝立ての保持が困難で外側に倒れる
■医療面接でのポイント
・既往歴の確認:糖尿病、肝疾患、精神病、悪性腫瘍など
糖尿病なら低血糖
肝疾患なら高アンモニア
精神病なら水飲みすぎの水中毒→低ナトリウム、薬物中毒
悪性腫瘍なら脳転移もしくは高カルシウム血症
・発見状況
CO中毒、低体温(低体温は触ってみないとわからないので忘れずに)
・頭部外傷の既往(3週間以上前の軽度な既往でも→慢性硬膜下血腫
(by頭部CTで三日月型。慢性硬膜下血腫のCT画像あり。血腫の時期によって濃度が異なる→高吸収〜等吸収〜低吸収。頭部MRIでT1T2どちらも高信号)
↑画像リンク:The Trauma Professional's Blog(英語ページ)
■検査のポイント
ショック、低血糖、低酸素血症の否定をせずにCT室に行くと命取り!必ず除外する。
器質的昏睡を疑う場合は→頭部CT、腰椎穿刺(脳ヘルニアの徴候があったら禁忌)
代謝性昏睡を疑う場合→SpO2,血糖、Na、Ca、アンモニア、BUN、CO-Hb
■鑑別診断
全身状態を安定化させたら鑑別をAIUEOTIPSで考える。
AIUEOTIPS画像参照元*2
編集中…また追記します。
参考文献:
ER実践ハンドブック
研修医当直ご法度
内科外来マニュアル
*1:意識障害|脳神経疾患の救急看護|ナースフル疾患別シリーズ