つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

FLAIRをいつ撮るか

FLAIRt2の違いその意義

 

◯FLAIRとは

FLAIRとはfluid attenuated inversion recoveryの略で液体の信号を減弱させたIR法の画像という意味。基本的にはT2強調画像と同じであるが、脳脊髄液の信号を減弱させている。端的に言えば、T2強調画像は水を高信号にするため、脳脊髄液は水が多いので高信号(真っ白)に描出される。が、FLAIRでは液体の信号を抑制するため、脳脊髄液は低信号(真っ黒)にして描出させる。

  

FLAIRは何故必要なのか、いつ必要なのか

・脳脊髄液と接している病変の評価

T2では脳脊髄液も病変もどちらも高信号に写ってしまうので、これらが接している場合は病変の同定が困難となる。しかしFLAIRでみれば脳脊髄液を無信号にしてくれるので病変だけを浮き彫りにすることが可能である。脳脊髄液と接している病変(例えば皮質梗塞や傍脳室の多発性硬化症プラークなど)ではFLAIRT2に勝る。

 

 

・クモ膜下出血の診断

FLAIRは純粋な液体を無信号にするが、血液のように混濁した液体は高信号となる。故にクモ膜下出血で脳脊髄液に血液が混ざればFLAIRで脊髄腔が高信号となり診断できる。くも膜下出血の急性期の多くはCTで評価できるが、出血が少量であったり時間の経過したくも膜下出血であればCTで映らない場合もあり、そのような時はMRIの方が感度が高い。

【くも膜下出血のFLAIRでの一例】

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画像参考:くも膜下出血 | 大西脳神経外科病院

 

 

・ラクナ梗塞の新旧の鑑別

ラクナ梗塞が新しく出来たものか、前からあるものかの鑑別にFLAIRが有用である。ラクナ梗塞はT2で高信号で写るが、時間が経つと内部が液体に置き換わる。時間が経過したラクナ梗塞ではFLAIRで見ると高信号の病変の内部に低信号領域が見られることになる。また、ADCで低信号(もしくは拡散強調で高信号)もラクナ梗塞の新しいことを意味している。

 

また、ラクナ梗塞は血管周囲腔と鑑別が必要になることが有る。ラクナ梗塞も血管周囲腔も共にT2強調画像では高信号を呈するが、ラクナ梗塞では周囲にT2,FLAIRで不規則な高信号を呈するのに対して、血管周囲腔では周囲の高信号は認められない。よって、T2強調高信号を認めたら、ラクナ梗塞なのか、血管周囲腔なのかの鑑別にFLAIRをチェックする必要がある。

 

また追記します。