クッシング症候群で中心性肥満になる理由
クッシング症候群で中心性肥満となる機序
【クッシング症候群とは】
クッシング症候群とは糖質コルチコイドが異常に産生されてしまう症候群であり、特徴的な体つきや代謝異常を生じる。
クッシング症候群はその原因によりいくつかに分類されている。例えば副腎腺腫からコルチコイドが腫瘍性に産生されることもあれば、下垂体でACTHが腫瘍性に産生された結果、副腎でコルチコイドが異常に産生されてしまう場合、あるいはステロイド(コルチコイド)の長期投与による医原性の場合もある。
【過剰なコルチコイドとそれに拮抗するインスリン】
コルチコイドには抗インスリン作用がある。インスリンというのはお馴染みの同化ホルモンであり、グルコースをグリコーゲンにし、脂肪細胞ではグルコースから脂肪を作り出し、更には筋肉でグリコーゲン産生に加えてアミノ酸からのタンパク合成を促進する。つまりインスリンには小さな生体材料を組み立て大きなものにする働きがある。
コルチコイドはそのインスリンの働きに拮抗し、大きな部品を分解する異化作用がある。コルチコイドがたくさん作られるクッシング症候群では膵臓も負けじとインスリンを沢山作るのでカラダの中でコルチコイドVSインスリンの戦いが起こるのである。その勝敗は場所によって異なり、顔や体幹ではインスリンが勝って異化が進み、末梢組織ではコルチコイドが勝ち同化が進む。
その結果の表現形として、
顔が大きく(満月様顔貌)
肩に脂肪がたまり(バッファローハンプ=野牛肩)
カラダは太っているのに四肢は痩せている(中心性肥満)
となるのである。
画像引用元:Cushing’s syndrome. - Biology Forums Gallery
満月様顔貌…?