つねぴーblog@内科専門医

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思春期男児に女性化乳房が多い理由

 思春期の男子においては女性のように胸の膨らむ”女性化乳房”がしばしばに見られる。乳腺の増殖を促進するエストロゲンが乳腺の増殖を抑制しているテストステロンよりも多く分泌されてしまうことが原因である。エストロゲンがアンドロゲンよりも多く産生される状況が思春期には一過性に起こりうるということである。女性化乳房になる男児の割合は12〜14歳で60〜70%であり決して珍しいことではない。

 また、肥満児では特に女性化乳房が起こりやすい。これは脂肪細胞に存在するアロマターゼによるものである。アロマターゼは男性ホルモンであるアンドロゲンをエストロゲンに変換する働きがあるので、どうしても脂肪細胞を多く持つ肥満児ではエストロゲン産生も多くなってしまうのである。尚、肥満児では乳腺組織の発達と脂肪組織の沈着との鑑別が難しいこともあるので注意。

 

女性化乳房の臨床症状として圧痛があるが、その他には問題となる症状は見られない。女性化乳房の治療は基本的には経過観察でよく、24週間程度で自然治癒することが多い。薬物治療をする場合はクロミフェンなどの抗エストロゲン薬、またはダナゾールなどのアンドロゲン薬が適応となる。

 

参考:女性化乳房をきたす疾患の覚え方 - とある医学生の雑記帳