つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

死斑の形成メカニズムと死後時間経過

■死斑の出現

 心臓が停止して血液の循環が止まると、血液は血管内において重力に従って下側に集まる(=血液就下)。就下した血液が毛細血管や細静脈に集まり、外表面から見て低い位置に変色した点として見られるものが死斑である。

死斑は圧迫されていない部分に出現するので、地面と接触している場所などは低位であっても死斑は出現しない(血管が圧迫されていると血液が毛細血管・細静脈に入れないためである)。

 

■死斑と死後経過時間

死斑は死後30分〜2時間ほどで出現し、5〜6時間で著明となり半日で最高となる。

死斑が出現してからでも、死後5〜6時間以内であれば死斑が固定されていないので体位を変えると死斑の位置も新たに低位になった場所に移動する(死斑の転移)。しかし10時間ほど経過すると、血管内に就下した血液の液体成分が毛細血管外の組織に漏れ出るために、血液が濃くなって沈着し、死斑の転移は見られなくなる。

 

*死後8〜10時間程度の場合、就下した血液の中で濃縮されて固定されるものもあれば、まだ流動性が保たれている血液もある。その状況で体位を変換すると一部は新たに低位となった場所に移動し、残りは元の場所にとどまるので新旧複数箇所に死斑が出来ることになる(両側性死斑)。死後12時間経過すると、死斑の転移は完全に消失する。また、死後12時間までは死斑部位を指で圧迫すると血管が収縮して血液が押し出されるので死斑は消失し、死後24時間を超えた辺りからは死斑が完成してしまっているので、強く圧迫しても死斑は消失しない。

 

■死斑の色調・濃さ

 死斑の強さを規定する因子としては赤血球数、ヘモグロビン濃度、血管の拡張度合いなどがある。失血や貧血においては死斑の程度は弱く、更に発現は遅くなる。一方で窒息死などにおいては細静脈が拡張するので死斑は正常よりも強く出現することがある。

また、一酸化炭素中毒によってヘモグロビンが鮮紅色になると死斑も同様に鮮紅色になり、色調が変化する。