pivkaⅡ上昇の原因と偽陽性について
pivkaⅡとはprotein induced by vitamine K absence or antagonist-Ⅱの略である。日本語で言えばビタミンK欠乏状態で誘導されるタンパク質ということになる。臨床的にはPIVKA2が陽性であれば肝臓がんが疑われる。肝細胞癌の腫瘍マーカーとして他にはAFPやAFP-L3が知られているがどのような違いがあるのか。
PIVKAⅡとは:凝固因子Ⅱ(=プロトロンビン)の前駆体。肝臓で合成されるがこれ自体に凝固活性はない。
AFPとは:胎児期の肝臓と卵黄嚢で産生される物質。特異度が低く、妊娠などでも上昇しうる。
AFP-L3とは:AFPの糖鎖にフコースが結合したものであり、肝細胞癌への特異度は高い。
AFPの基準値は20μg/L以下であり、200μg/Lを超えると肝細胞癌の可能性を強く疑わなければならない。もちろん、良性の場合でも基準値を超えることはある。またPIVKAⅡは感度がより高いのでAFPと併用して測定されることが多い。
■何故ビタミンK欠乏時にPIVKAⅡが上昇するのか
PIVKAというのは凝固因子の前駆物質である。凝固因子Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、ⅩはビタミンK依存性凝固因子であるのでビタミンKがない時にはこれらの凝固因子の産生は低下し、PIVKAが蓄積してしまう。PIVKAⅡのⅡというのは凝固因子2番、つまりプロトロンビンの前駆体という意味がある。
よってPIVKA2はビタミンK欠乏によって偽陽性となってしまうのである。また、ビタミンK拮抗作用のあるワーファリン内服によってもビタミンK依存性凝固因子の合成が阻害されるのでPIVKA2は上昇する。