鎖肛の分類〜PC線、I線、M線について
鎖肛とは発生段階に異常が生じ、肛門や直腸が閉鎖してしまう先天性疾患である。
鎖肛は排便の機能を持つ恥骨直腸筋と直腸の盲端の位置関係により3つのタイプに分けられる。
低位型:直腸の盲端が恥骨直腸筋の下にあるタイプ
(直腸盲端がI lineよりも肛門側)
中間位型:直腸の盲端が恥骨直腸筋の中にあるタイプ
(直腸盲端がI lineとm lineの間)
高位型:直腸の盲端が恥骨直腸筋より上にあるタイプ
(直腸盲端がI lineよりも肛門側)
・I lineとは坐骨の下端のI点を通り、PC lineに平行な線。
・PC lineとは恥骨中央部(P点)と仙骨下端の尾骨部分(C点)の線
・m lineとはPC lineとI lineの真ん中に引いた線
*I線のIとはIschium(坐骨)、PC線のPはPubis(恥骨)、CはCoccyx(尾骨)、m lineのmはmiddle(中央)に由来している。
イラスト引用:http://plaza.rakuten.co.jp/minazo/3001/
検査としては倒立位X線検査を行い、直腸盲端ガス像がPC線より上のものを高位型、盲端ガスがI線よりも下のものを低位型、その中間にあるものを中間型という。尚、検査の時は出生後12時間以上経過して消化管のガスが直腸の端まで到達してから行う。
治療はタイプにより異なる。低位型の場合であれば直腸の盲端が恥骨直腸筋よりも下まで来ており肛門括約筋の機能が期待できるので新生児期に肛門をつくる。
一方で高位型や中間型では直腸の盲端が恥骨直腸筋よりも上にあり肛門括約筋の機能が期待できないために、新生児期には人工肛門をつくるが、成長して恥骨直腸筋の機能がついてから根治手術を行う。根治手術を行った後人工肛門を閉鎖し、肛門から便が出るようにする。