肺のコンプライアンス上昇と低下の原因
コンプライアンスとは肺の膨らみやすさの指標である。コンプライアンスが高ければ高いほど柔らかく膨らみやすく、コンプライアンスが小さいほど肺は膨らみにくい。
コンプライアンスの中でも大事なのは静肺コンプライアンスである。静肺コンプライアンスは息を止めた状態で測定し、そこから一定量の空気を吸ってもらい、胸腔内圧がどれほど変化したかを調べることにより求まる(コンプライアンス=体積変化 / 圧力変化)。
■コンプライアンスが上昇する疾患(肺が膨らみやすい状態)
肺気腫、高齢者(加齢)
肺気腫では肺胞壁が破壊されるので気腫という名前の通り肺の支持組織がなくなる。故に空気を入れたら簡単に広がってしまう状態なのである(逆に縮みにくい)。
老化現象でも末梢気道や肺胞の弾性組織を変化させてしまい気腔が拡大する。そして呼気時には容易に閉塞し、肺気腫に似たような状態となり、コンプライアンスは上昇する。
■コンプライアンスが低下する疾患(肺が膨らみにくい状態)
間質性肺炎、肺水腫、うっ血性心不全、肺炎、無気肺、胸膜の肥厚など