核黄疸の機序
核黄疸の機序
黄疸とは赤血球が破壊され、中からビリルビンが漏れ出て血中ビリルビン濃度が上昇し、皮膚などが黄色く染まった状態を言う。
本来ビリルビンは、輸送蛋白であるアルブミンと結合しているが、ビリルビン量が多くなるとアルブミンと結合できずに遊離するものがでてくる。すると間接ビリルビンは脂溶性である上に分子量が少ないので血液脳関門(BBB)を通過してしまうのである。血液脳関門を通過したビリルビンは大脳基底核や海馬などの脳組織に沈着して、脳の神経細胞内のミトコンドリアの電子伝達系を阻害してエネルギー産生を抑えてしまう。ちなみに核黄疸という言葉は「大脳基底核の黄疸」に由来している。
新生児では血液脳関門が未完成である上に、アルブミンの量も少ないので核黄疸が起こりやすい。また、低血糖、acidosis、低酸素血症、感染症などの状態では血液脳関門の透過性が亢進してしまうので低出生体重児は特に核黄疸の危険性が高い。
「核黄疸の症状について」
核黄疸はPraaghの分類によって症状が整理されている。
核黄疸の原因とその症状
第一期:筋緊張低下、嗜眠、哺乳力の低下
第二期:筋緊張の亢進、後弓反張、発熱、甲高い鳴き声、けいれんなど
第三期:第二期の筋緊張は次第に減弱する。外見上、無症状にみえる
第四期:後遺症として錐体外路症状、乳歯形成異常、難聴などが出現
治療としては1期のうちに血症交換などの治療を行う必要がある。2期以降には有効な治療はなく、重篤な障害が残る可能性がある。