ACTHの過剰で色素沈着を起こす機序
ACTHの過剰で色素沈着を起こす機序
クッシング症候群のようにACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を過剰に分泌する疾患では皮膚粘膜に色素沈着が起こることがわかっている。皮膚の色素というのはメラニン産生細胞がメラニン色素を産生することにより生じているが、ACTHはメラニン細胞のMC1受容体に結合することでGsタンパク質からセカンドメッセンジャーを経由してMITFという転写因子を活性化し、チロシンを材料にメラニンを産生させる。端的に言えばACTHはメラニンの合成を亢進させるということである。
一方で、ステロイドにはACTHをフィードバック的に抑制する働きがあるので、ステロイドの量が多くなると色素産生が抑制されてむしろ色素脱失といい皮膚の色が所々抜け落ちてしまうことがある。