植物状態と脳死の違い
植物状態と脳死の違い
植物状態の定義
・自力移動が不可能
・自力摂食が不可能
・便失禁、尿失禁状態
・声を出しても意味のある発語は不可能
・「目を開けて」「手を握って」という簡単な命令は聞くことはあるがそれ以上の意志疎通は不可能
・眼球はかろうじて物を追っても認識はできない
上記の6項目が治療にもかかわらず3ヶ月以上続いた状態を植物状態と見なす。(日本脳神経外科学会)
つまり植物状態とは大脳半球がダメージを受けて意識のなくなっている状態ではあるが、脳幹は残存されている状態である。脳幹は呼吸循環中枢でもあるので、心臓は動き呼吸も自発的に行うことができる。また、脳幹には姿勢をとる中枢があるが大脳からの指令が来なくなるので変な姿勢をとってしまうのである(=除脳硬直)
一方、脳死とは大脳半球の障害だけでなく、脳幹も機能を失っている状態である。よって自発呼吸は認められず、人工呼吸器を付けなければ生存することはできない。自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、けいれんが少しでも認められたら脳死ではない。
2010年の回生臓器移植法施行により法律上、脳死が人の死と定義された。
因みに…
閉じ込め症候群(locked in syndrome)とは閉じこめ症候群とは橋梗塞などにより橋の腹側が広範囲に障害される疾患である。橋、延髄に存在する脳神経核は全て運動障害となる(延髄に脳神経核のある動眼神経、滑車神経による眼球運動は正常)。また錐体路も障害されるために頸部以下の運動もできなくなる。ただ、橋の背側にある網様体は傷つかないために意識は清明、感覚も正常である。
よって意識ははっきりして感覚も正常なのに眼しか動かすことのできないのが閉じこめ症候群である。