つねぴーblog@内科専門医

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褐色脂肪組織と白色脂肪組織の違い

褐色脂肪組織と白色脂肪組織の違い

 

食事から体に入ってきた脂肪は脂肪組織に蓄えられるが、脂肪組織は褐色脂肪組織と白色脂肪組織に大別される。

 

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人に多く存在するのは白色脂肪組織であり、脂肪細胞内に大量の中性脂肪を蓄えている(一般に”脂肪”と言えば白色脂肪組織を指す)。幼い子供には白色脂肪組織の前駆細胞が存在しているが、幼少期に食べ過ぎるとこの前駆細胞が白色脂肪細胞に成長し、生涯にわたって肥満の原因になってしまうのである。

 

一方で、褐色脂肪組織というのは熱産生を担う組織であり、体のごく一部の部位にしか存在しない。


どのようなメカニズムで熱を産生しているのか。少し専門的な話になるが、電子伝達系においてプロトンをミトコンドリアの外膜に放出してから再びマトリックス内に戻すときにふつうの細胞ならATP合成酵素を介してADPからATPにしているが、褐色脂肪細胞にはサーモジェニンという膜蛋白があり、それを介して熱を発生させているのである(褐色脂肪細胞の発熱能力は筋肉のおよそ100倍と言われている)。

 

エネルギーとなるATPをあえて作らずに無駄な熱を発生させているのだからなんともコストパフォーマンスが悪いように見えるが、筋肉が少なくて体を動かせない新生児が、体を動かさなくても熱を産生して体温を保つために褐色脂肪細胞が存在していると考えられている。しかし成長とともに減少し、特に40代以降では褐色脂肪細胞が著しく減少して中年太りの原因とも考えられている。また、人間以外では冬眠から覚醒する必要のある動物や寒い地域に生息する動物では褐色脂肪組織が活発に働いていることがわかっている。