つねぴーblog@内科専門医

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ファロー四徴症で蹲踞姿勢をとる理由

ファロー四徴症で児が蹲踞姿勢をとる理由

 

ファロー四徴症とは:

ファロー四徴症では胎生期に円錐中隔の前方偏位が起こり、肺動脈流出路の狭窄が生じる先天性心疾患である。
四徴とは
1、肺動脈狭窄
2、心室中隔欠損
3、大動脈騎乗
4、右室肥大
の4つである。

 

ファロー四徴症ではしばしば低酸素発作(無酸素発作)を起こす。これは排便時、啼泣時、運動時などに突然の呼吸困難やチアノーゼを呈する発作のことである。メカニズムの詳細は不明であるが、なにかしら踏ん張ったりしてエネルギーを使ったときにカテコラミンが産生され、それにより右室流出路心筋の攣縮が起こり、肺動脈狭窄が強まり肺動脈血管抵抗が上昇することにより起こる発作であると考えられる。つまり肺動脈に血液がながれにくくなってしまうのである。

 

このときに、幼児は蹲踞(そんきょ)姿勢をとることが知られている。蹲踞とは胸と腹がくっつくようにしゃがみ込む姿勢のことである。この姿勢では大腿動脈を圧迫して下半身の体血管抵抗を上昇させるため、相対的に肺動脈に血液が流れやすくなる。このうずくまる姿勢をとるともっとも楽であるということを幼児は経験的に?知っているのかもしれない。


無酸素発作の治療としては鎮静、100%酸素投与などがある。酸素には肺血管抵抗を低下させる働きがあり、相対的に肺に血液が流れやすくなる。また、肺動脈の攣縮を防ぐという意味でβ遮断薬も投与される。逆にβ刺激薬とジギタリスは禁忌。また、α1刺激薬によって末梢血管抵抗が上昇し大動脈への血液流入が減少するので肺動脈血流を上昇させることもできる。